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2019/08/10

国立トレチャコフ美術館所蔵「ロマンティック・ロシア」山形美術館

ロマンティック・ロシア展を見に、山形美術館に行ってきました。東京で行きそびれ、岡山も行きそびれての山形。山形美術館にはずっと行くチャンスがなかったのに、去年初めて訪問したあとは、また今回のように割と時間をあけずに再訪できたという、遠征あるある。山形美術館では、巡回中だった所蔵品が一旦8月6日から美術館に戻ってきているそうで、行くならその時期が吉野石膏コレクションの西洋絵画も一緒に楽しめてお得なようですよ。山形も超暑かったです!

構成は以下の通り。
第1章: ロマンティックな風景
1-1 春
1-2 夏
1-3 秋
1-4 冬
第2章 ロシアの人々
2-1 ロシアの魂
2-2 女性たち
第3章 子供の世界
第4章 都市と生活
4-1 都市の風景
4-2 日常と祝祭

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メインイメージになっているイワン・クラムスコイ《忘れえぬ女(ひと)》、約10年ぶりの来日なのだそうです。え、うそ?つい最近来たばかりじゃん、って思ってたのに…。8回目の来日だそうで、本当に人気のある絵なのですねえ。

最初のセクションのメインは風景画。全72点の出品作のうち、半分近い33点がここに費やされています。展示されている絵は1800年代後半から1900年に入ったあたりで写実主義から印象派へと主流が移っていった時期のもの、あるいは直近に見たクリムトあたりとも同時代だけれど、ロシアではロマン主義的な、そしてどこか独特なマチエールが主流の時期が少し長かったよう。コローやドービニーとも違うし、白夜の光あるいは冬には乏しい自然光を絵の中に塗り込めたかのような輝きがあり、それがこの時期のロシア絵画の特徴のようでした。画家たちも、光に対してより敏感なのかな、とも。

テーマ別展示なので時々スタイルが全く違う絵がいるのも楽しい。ミハイル・ヤーコヴレフ「花のある静物」やイヴァン・ゴリュシュキン=ソロコプドフ「落ち葉」などは印象派などすっ飛ばしたスタイル。こういう絵をもっと見たかったなあ。静物画がいくつかあった中でとても目を引いたのがクラムスコイ「花瓶のフロックス」。肖像画の印象が強いので「へー静物画も描くんだー、花さえもドラマティックだねえ」と感心していたら、これが唯一の静物画だとか。

夏のセクションにアイヴァゾフスキーの海の絵が2枚、さほど大きなサイズでもないのに迫力がありました。同じ夏のところにあったレフ・カーメネフ「サヴィノ・ストロジェフスキー修道院」はタルコフスキーの映画「惑星ソラリス」冒頭のシーンの舞台である、と解説がありました。イワン・シーシキンが5枚並んでいて、そのどれもが素晴らしい。「雨の樫林」が代表作っぽいけど、「森の散歩」もとても好きでした。対照的な2枚。

第二章の肖像画には、最初にレーピンの絵が2枚ありました。クラムスコイとルービンシュテインを描いたもの。アカデミック。その次にあったマコフスキーの自画像がなんともいえずチャーミング。というか、自分の魅力をよく知っている人の自画像だわ。そしてその先にロシアのモナリザ、クラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」そして「月明かりの夜」が。やーっと会えました。どちらも近くから遠くから、ゆったりと堪能。これが独り占め鑑賞できるって贅沢ですよね。人は途切れずに展示室に入ってくるのだけど、それぞれのペースで鑑賞できるので遠征の甲斐がありました。

人物画はスタイルも様々で、スタジオでじっくり描く肖像画から、外でささっと仕上げたようなものがあったり。参照している絵画はあれかな?と思うものもいくつかあって、風景画とは違う楽しみ方ができたように思います。ワシーリー・スリコフ「ガリーナ・ドブリンスカヤの肖像」は、ちょっとだけナビ派っぽさもあり印象に残っています。

さて、第3章は子供を描いたもの。ここへ来て女性画家の名前が登場してきました。一番身近にいるから題材にもなりやすいのでしょうね。アントニーナ・ルジェフスカヤ「楽しいひととき」は家族が無邪気にはしゃく様子が臨場感を持って描かれていて、子供の笑い声や音楽、おじいさんの掛け声、靴音が聞こえてきそうです。

第4章は都市と生活。ニコライ・グリツェンコ「イワン大帝の鐘楼からのモスクワの眺望」がとても好き。グリゴーリー・セドーフ「民族衣装を着たクルスクの町娘」はゴージャスな民族衣装の描きこみに画家の腕がなったことでしょう。最終章でまた絵画の題材に風景が大きな役割を持ってきて、このまままた第1章にリピートしたくなる感じの展開でした。72点といっても、じっくり眺めたくなる密度の高さなので割と長く見てた気がします。

大急ぎで常設にも回りましたが、服部コレクションの西洋近代絵画と、別館2階の新海彫刻まででタイムアップ、長谷川コレクションは見られませんでした…残念。

国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア
2019/07/19-08/25 山形美術館
巡回:
2018/11/23-2019/01/27 Bunkamura ザ・ミュージアム(終了)
2019/04/27-06/16 岡山県立美術館(終了)
2019_09/07-11/04 愛媛県美術館

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