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2019/08/09

「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」あべのハルカス美術館

あべのハルカス美術館でギュスターヴ・モロー展を見てきました。汐留で開催中は体調が優れないことが多くて遠征と相成りました。モロー展は東京・大阪・福岡と巡回しますが、油画は共通で素描が若干入れ替わるという話だったので、油画が同じならいいかなーと…。最初の時点では全て見に行ってやるぜと思っていたのですが(笑)。こちらは空いていて快適鑑賞でした。

構成は以下の通り。
1. モローが愛した女たち
2. 《出現》とサロメ
3. 宿命の女たち
4. 《一角獣》と純潔の乙女

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モロー美術館の所蔵品で構成された、女性美をテーマにした展示です。母や妹、恋人のアレクサンドリーヌ・デュルーといった身近な親愛なる女性たちから始まり、サロメをテーマにした充実の展示、神話世界のファムファタルたち、そして一角獣とともに描かれた純潔の乙女。

14年前のモロー展の時はまだ美術に興味がなかったし、パリ訪問時にモロー美術館を訪問できなかったことを今でも悔いているので、ここでその一端が見られたのは幸せでした。数年前のモローとルオーの展示に来てたものもあったけど、今回は大好きな神話絵が素描とともにたっぷり来ているのが最高。

特にサロメについては同じテーマについて様々に描かれ続けた油画と、入念な準備が見てとれるたくさんの素描とが並んでいて見応えがあり、浴びるように堪能できます。図録に収録されている喜多崎親 氏による考察にも目が開かされるし、サロメのヴァリエーションを紹介した見開き(新谷式子氏)も嬉しい(全体としては、図録に収録される文章としては軽めな印象だけど)。

で、見ているうちに気付かされたのですが、室内の直線(柱や床)がこんなにもまっすぐだったかしら、と。モローを見る喜びはデコラティブに描きこまれた細部だと思っていたし、実際そちらにばかり目がいって気がつかなかったけど、オリエンタルな建物の高い天井と奥行きが強調されるようなまっすぐな柱などが、こんなにはっきり自己主張して見えるとは。それ以降は、どんなにもんやりと抽象的な絵であっても、背景の垂直&水平線を見るようになっていました。私のような薄ぼんやり絵を見るタイプの人間は、これくらいまとまった数で見ないと気づかないことがたくさんあるんだわ、と絶望したくなります…。

他にその特徴を強く感じたのはクレオパトラでした。やはり室内の奥行きを、様々な色で引かれた垂直線で表現。

第3章の神話絵からの女性たちは一人一人は少ない点数なのが少し残念ではあったけど、まとめての見応えはありました。この章の「エウロペの誘拐」と次章の「一角獣」は美しい壁紙と共に設置されていたのもよかったな。どっぷりたっぷりモローの世界に浸る、至福の時間。モローの画業からテーマを絞って深めに紹介しているのがよくて、大満足の展示でした。

あべのハルカス美術館、モロー展は平日夜8時閉館だから、もし大阪勤めだったら仕事終わりに何度でも行っていたでしょう。あべのハルカス美術館の展示室でここまで幸せになれるのだから、モロー美術館の展示室になんて行ったら昇天するわね…。望むところだけど。

最後に1つだけ。タイトル等、日本語と併記されるのが英語のみだったのですが、原題は併記してもいいと思うし、英語表記そのものにも多少の違和感が。その点にちょっともったいなさを感じました。

ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち
2019/04/06-06/23 パナソニック汐留美術館
2019/07/13-09/23 あべのハルカス美術館
2019/10/01-11/24 福岡市美術館

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