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2018/11/25

「山と水と桜の画家 日本風景画の巨匠 吉田博展」狭山市立博物館

狭山市立博物館へ「山と水と桜の画家 日本風景画の巨匠 吉田博展」を見に行って来ました。昨年の生誕140年回顧展には足を運べなかったのですが、規模は全く違うとはいえ初公開の作品などもあり、予想以上に充実した展示でした。

入場料金150円だよ、素晴らしい。

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1階の円形ホールにはお孫さんで画家の吉田興文氏の風景画。狭山市在住だそうで、近隣の豊かな自然を、比較的大きなキャンバスに水彩で清らかに綿密に描いたものが並んでいました。2階の企画展示室へは、そのホール沿いにぐるっとスロープを上がっていくアプローチ。あとで常設展のまいまいず井戸の模型を見て気づいたのですが、このホール、舞い舞いホールと名前がついていて井戸にあやかった?設計になっていたようです。まいまいず井戸、羽村にもあるんですよね。西多摩エリアで育った私は、小学校の授業で習った覚えあり。行ったことは…あったかしら?

画家というより版画家というイメージを持っていた吉田博ですが、前半の油画も緻密かつ構図が大胆、光と影の描写も素晴らしかったです。どの絵にも強い意志と視線が感じられました。点数こそ多くないものの、いずれも吉田興文氏所蔵品とのことで質も高く、版画は全て自摺りと入っているものでした。帰宅してから2017年の回顧展の出品リストをネットで見たところ、おそらくそちらも吉田氏所蔵品が多数出ていたとは思うのですが(個人蔵がたくさん出てた)、油画は出品がそちらとほとんどダブっていなかったし未発表の作品もあったくらいなので、思いがけず貴重な機会に出会えたようです。

彫師、摺師の力が強かった従来の版画の世界で、絵師である吉田博が隅々までこだわって何度も手直しの指示を出して作品を作り上げる、というそれまでとは別のやり方で新しい表現を版画界にもたらした、とのこと。何年か前に日曜美術館で彼の特集を見たのでなんとなくはイメージできていたのだけど、何十色も摺りを重ねたという版画を目の前にすると、感嘆符が頭の中にたくさん並びすぎて言葉のスペースがなくなるくらい。しかも同じ版木で色を変えて朝と夜など時刻の変化を表現するなど…モネもびっくりだよね。何点かそういう作品が並んでいたので、じっくり見比べて鑑賞できました。

美術奥手(笑)だった私が初めて吉田の版画を見たのは名古屋ボストン美術館で「ナイアガラ瀑布」だったと思いますが…うねる水流ともうもうと上がる水煙の表現が版画でなされていることが衝撃で(今画像で見ても圧倒される)。日本の旧来絵画の価値観ではなくグローバルな世界を見据えての画業は、現代のグラフィックデザインにも通じるものがあり、今見ても洗練されていると感じます。

初めて見るバラの静物画や、妻ふじをの絵画もあり予想以上に充実した展示でした。大満足。買うつもりのなかった図録も買ってしまいましたが…こっちは32ページの冊子で1,500円だった!(笑)。貴重なものだし仕方ないというか納得して買ったからいいのですが、貨幣価値がこんがらがるね(笑)。

常設は狭山の歴史の博物展示。地元のこういう展示があるの、羨ましいなーと思って見ていました。うちの自治体には存在しないからね、博物館。

2018.09.29-11.25 狭山市立博物館 秋期企画展「吉田博展」

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