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2018/11/27

「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」国立新美術館

国立新美術館で「ピエール・ボナール展」を見て来ました。オルセー美術館の所蔵品を軸にボナールの画業を回顧する展示。土曜日の午後4時過ぎに到着しましたが、会場内は比較的空いていて見やすかったです。新美では同時開催中の東山魁夷展が大ヒット中で、そちらに向かうお客さんが多かったみたい。

構成は以下の通り。
第1章 日本かぶれのナビ
第2章 ナビ派時代のグラフィック・アート
第3章 スナップショット
第4章 近代の水の精(ナーイアス)たち
第5章 室内と静物「芸術作品 - 時間の静止」
第6章 ノルマンディーやその他の風景
第7章 終わりなき夏

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去年三菱一号館でオルセーのナビ派展があったので、今回来ている作品と重なるものが結構ありました。それでも30点ほどは初来日だそうですし、会場と照明が変わると印象もまたガラッと変わりますね。三菱一号館の親密な雰囲気もよかったけど、サイズの大きな絵や「庭の女性たち」の連作などはこちらで見るほうが鮮やかに感じました。

批評家に「日本かぶれのナビ」と評されたのは「黄昏(クロッケーの試合)」ゆえだったそうですが、「砂遊びをする子ども」などは掛け軸のようなサイズといい刈り上げおかっぱの子供の後ろ姿といい、とても日本的な感じがして印象に残っています。「黄昏(クロッケーの試合)」や「大きな庭」の緑が、すごく好きでした。

あとね、最初にボナールいいなーと思ったきっかけだった「黒いストッキングの少女」がようやく見られたのが嬉しかった。ランプの下で食事をする家族を描いても、ヴァロットンのように孤独を感じるでもなく(画家はその輪の中にいる感じがするから)日常が幻想に溶けていくようなのがボナールらしいとも思いました。「男と女」は以前にも見ているはずだけどその時はあまり印象に残らなかったんですよね。その後に見た画像ではよくわからなかったベッドの上の猫たちが、実際に見ると浮かび上がってきて、やっと気づきました。絵に漂う雰囲気はどこか不穏だけど、猫はかわいい。

第2章のシャンパーニュのポスターはロートレックぽいなーと思ったけれど、これはロートレックの方がボナールのこのポスターに影響を受けたのだそう。第3章は写真がたっぷり。ヴュイヤールがコダックのカメラで撮影する様子を撮った写真が何枚かあって、この二人本当に仲が良かったんだなーと。ルーセルも加えて3人でサン・マルコ広場にいたものもありました。

第4章は浴室の裸婦を描いた作品が並びます。オルセーの他、新潟市美と山形美術館(吉野石膏より寄託)のものも。第5章は室内画と静物画。色合いが似た感じなのは、自宅を描いていたからかしら。西洋美術館の常設出口脇にいつも飾ってあるボナールの花の絵がここに出ていて、意外なところで意外な人に出会った気分。

実は私はあまり章の頭の解説文とか読まずに見て回るのですが、第6章の風景画に突如現れたモネ風味に驚いて、この章の最後に解説を読みに戻りました。モネの睡蓮の展示を見たのをきっかけに、ヴュイヤールと一緒に初めてモネを訪問した、とのこと(1909年)。ボナールが印象派を通らずに来ていたことに驚いたのだけど、ここで出会うのが面白い。図録で見てもあまりモネって感じがしないのだけど、展示室で見た時はあからさまにモネだなーと思ったのよね。光や絵の具の具合なのかなあ。室内で親密な絵を描いて来たボナールが最終的にはフランスの外光を描くようになるのも面白いです。

第7章は装飾画がたくさん。装飾画をたくさん頼まれる成功した画家だったのですねえ。一際目を引いたのは、ミシア・セールのアパルトマンの食堂の為に描かれた装飾画。4点のうち2点がオルセー所蔵で今回展示されているもの、他に池田20世紀美術館とゲティ・ヴィラに1点ずつあるそうです。ちょっとした風刺が込められているのは、それだけミシアと仲がよかったからなのでしょうね。ヘレナ・ルビンスタインの邸宅のために描かれた「にぎやかな風景」などそれぞれ独自の色使いが目を引きました。

晩年の作品はもう少し色々見てみたかったなーとも思うのですが、これまであまり意識してこなかったボナールの画業を振り返る入門編としてとても面白かったです。


2018/09/26-12/17 「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」国立新美術館

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