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2018/12/27

「ムンク展―共鳴する魂の叫び」東京都美術館

10月末…結構前のことになってしまいましたが、東京都美術館で開催中のムンク展に行ってきました。平日としてはちょっと記憶にないくらいの混雑でした。始まって割とすぐだったし、まだそこまで混んでいないのではと予想していたけれど、甘い見通しでした。上野の美術館事情はちょっと他とは違うもんね…。何日か前に40万人を超えたというニュースがありましたっけ。

構成は以下の通り。
第1章: ムンクとは誰か
第2章: 家族 - 死と喪失
第3章: 夏の夜 - 孤独と憂鬱
第4章: 魂の叫び - 不安と絶望
第5章: 接吻、吸血鬼、マドンナ
第6章: 男と女 - 愛、嫉妬、別れ
第7章: 肖像画
第8章: 躍動する風景
第9章: 画家の晩年

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ムンクの油画は確か日本に4点か5点位しかないのですよね。回顧展そのものが貴重な機会なので、ワクワクしつつ会場に向かいました。会場の印象としては「叫び」をクライマックスに、ムンクがそれを描くに至った人生のあれこれと画風とその後、という構成だったかな。幼い頃に体験した母と姉の死、自身の病気、不倫の恋愛…。画家としては生きているうちに成功した人だけれど、ベルリンでの個展はスキャンダラスに受け取られ数日で打ち切り、ナチスには退廃芸術と名指しされ、という面も。

執拗にムンクの心の闇を追って「叫び」へと繋げている印象だし、選ばれた絵も当然それを参照するものが多いので、見ていてある種のキツさを感じるところもありました。象徴主義の文脈で見るムンクの絵はたまらなく好きなのに、また別の文脈だと辛さが勝つ…というのも見ているこちらの身勝手さだなと苦笑い。

そして、象徴派の文脈以外で好きなムンクの絵たちが、ノルウェーに戻ってムンクの人生が一番落ち着いていた時期のものだ、ということも今回知りました。明るい色を用いた肖像画やノルウェーの自然を描いた作品たち。それゆえに、今回の文脈だとメインにはなり得ないのですよね。というわけで、浴びるようにムンクの絵を堪能できたことは面白かったけれども、期待値が高すぎた分「私の見たかった絵が少なかったー」というかすかな落胆も。

そんな中で強く印象に残るのは、速筆らしき筆跡と予想以上に力強い筆使い。病気がちだった子供時代やのちの精神病院での療養などから弱い印象のある人だけれど、年を追うごとにその筆致は力強く素早くなって行ったように見えたし、死を身近に感じるテーマですら、違和感を覚えるほどに生命力に溢れていました。晩年に到るまで大きなサイズの絵が並んでいたということは 彼の体力がそれに見合うだけあったということだし、同じテーマで連作を重ねるのも胆力があるからこそ、ではないのかな、とも。描かずにいられない、という止むに止まれぬ精神性があったにせよ、それを実現できるだけの体力が備わっていたのでは。室内装飾を多く手がけたことも「実はマッチョだったんじゃん?ムンク」という印象を後押しします。

彼の優れた肖像画家という一面はもっとスポットを当てて欲しかったけれど、たくさんきていた自画像と家族の肖像を含めると、肖像画家という切り口でも見ることができました。特に後年の自画像を含む肖像画は、使われた色そのものが描かれた人物の一面をズバリ表しているようで、すごいところに到達した人だったのではないか…と。ちょっと驚きました。

「星月夜」など見てみたかったノルウェーの風景を描いた作品も色々みられて嬉しかったです。この作品や「庭のリンゴの樹」「太陽」などのゴッホを連想させる作品も興味深くて、二人の関係やいかに…と思ったけれど、二人が出会っていたと明確に示せる証拠はないそうで。でもムンクは確実にゴッホを意識してたよねー。
「太陽」を含む壁画が飾られるオスロ大学の講堂、行ってみたいなあ。


混雑した展示会場を出たら、物販スペースもやはり混んでいました。商品を選ぶスペースはさほどでもないのだけど、ショップの外に会計待ちの行列が数十人…。今回グッズも凝っていて湖池屋コラボの「ムーチョの叫び」とか欲しかったんですけどね…。この後フェルメール展の時間指定の締め切りが近づいていたので残念ですが諦めました。図録はロビー階エントランス奥のミュージアムショップで購入。


「ムンク展―共鳴する魂の叫び」
2018/10/27-2019/01/20 東京都美術館

コメント

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No title

ご無沙汰しております。

これ、行きたかったー!
叫びソックスが欲しかったです。

来年もよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えくださいね。

Re: No title

ぱくちーさん、ご無沙汰しております!
1月20日まであと少し会期がありますので、ご都合がつけばぜひ…
巡回がなくて残念ですよね。私も残念。

> 叫びソックスが欲しかったです。
そうでした、グッズがいろいろ楽しそうでしたよね。

今年も楽しいコメントのやりとりをありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。よいお年を♪