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2018/05/25

「ルドン―秘密の花園」三菱一号館美術館

すでに終了してしまいましたが、三菱一号館美術館で「ルドン - 秘密の花園」を見てきました。最終週は21時まで開館とのことで客足がばらけたのかな、17時過ぎに行ったけど最終週とは思えないほどゆったり鑑賞できました。

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構成は以下の通り。
1. コローの教え、ブレスダンの指導
2. 人間と樹木
3. 植物学者 アルマン・クラヴォー
4. ドムシー男爵の食堂装飾
5. 「黒」に棲まう動植物
6. 蝶の夢、草花の無意識、水の眠り
7. 再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな
8. 装飾プロジェクト

メインはドムシー男爵邸の食堂装飾16点が全て揃うこと。三菱一号館美術館所蔵のグラン・ブーケと、オルセー美術館所蔵の残り15点。ただ、会場の関係でしょうが、配置をそのまま再現することはできず、グランブーケを含めると3室に分割された展示に。そのかわり、資料室の手前の部屋(フォトスポット)で疑似体験できるようになっていました。

さすが男爵様のお城の食堂だけあって天井高が4-4.5mと高く、フォトスポットの部屋の縮尺に合わせて縮小したサイズで示されていました。実際にはかなり見上げる高さに配置されていたのですね。今見たばかりの絵を脳内で置き換えると、想像力が足りなくなるくらい広く豪華なスペースであったのだな、と。

オルセー所蔵の15点はデトランプ(膠テンペラ)という手法を使っているそう。カンバスに油彩を薄く塗り、上から膠を伸ばす、とのこと。ルドンらしい草花などが描かれた装飾画はどこか夢のように美しいけれど、黄色や灰色など退色しやすそうな色を使っているのが不思議(素人考えだし画材のことは全くわからないので、頓珍漢なことを言っているかもですが)。それに「グランブーケ」が食堂装飾画にも関わらず保存に気を使うパステルで、しかも他の絵とは全く違う様子に描かれたことも。

三菱一号館美術館の照明を絞った一室に収まった「グランブーケ」はそれはそれは美しく幻想的で、見るたびにしばらく動くことができなくなるけれど、他の絵と並んでいたらどのように見えたのかな…と今回は更に長居をしてしまいました。


ドムシー男爵邸の食堂装飾について最初に書きましたが、他の作品も国内外から良いものがたくさん揃っていました。この美術展の文脈に沿って見て回ると、例えば岐阜県美術館、ポーラ美術館、そしてひろしま美術館などで見たルドンの絵画が、また別の意味を持って見えてくるのが新鮮だし、目から鱗がハラハラと落ちてきました。彼自身そして彼に影響をもたらした人たちの言葉が添えてあるのも、良い余韻を残します。コローやファンタン=ラトゥールなど私の好きな画家たちとの交流も再認識。

黒の時代の後に来た色彩の時代は、特に見応えのある良い作品が揃っていました。ルドンが花の静物画に用いた花瓶のいくつかのうち、同じものを用いた絵を隣同士にした展示も楽しい。そして、いつもとても小さく入れられている彼のサインが、まるで花の茎のように入れられたものがあって、なんとも可愛らしく感じました。

シカゴ美術館の「花:ひなげしとマーガレット」はぜひ実際に見てみたかったので、ここに並んでいてテンションが上がりました。また、比較的小ぶりな花の絵が多い中で、ポーラ美術館とひろしま美術館のひとまわり大きい絵が目立っていたのも、勝手に誇らしく思ったり(両美術館ともお気に入りの場所なので)。

最後の部屋にあった岐阜県美所蔵の「オリヴィエ・サンセールの屏風」は修復が終わったばかりだそう。ゴブラン織りの下絵も手がけたとのことで、その下絵がありました。織物を手がけた方がルドンの絵のタッチが素晴らしいのに織物がそれに及ばないのが残念、みたいな言葉があり、その尊敬の念がまた素敵だな、と。これらの織物を用いた肘掛け椅子も展示されていました。


「ルドン―秘密の花園」
2018/02/08-05/20 三菱一号館美術館

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