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2018/05/23

「プーシキン美術館展 - 旅するフランス風景画」東京都美術館

平日午後、東京都美術館「プーシキン美術館展 - 旅するフランス風景画」に行ってきました。開幕から1ヶ月、客足落ち着いたかなーと思ったら、上野の街自体が、陽気に誘われてか すごい人混み…。14時過ぎに上野に着いて、遅いお昼を食べてから回ろうと思ったのに混雑でそれどころではなく、仕方なく先に見ることにしました。お腹が鳴ると困るので(笑)、いつも通りさっさと見るよ。

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構成は以下のとおり。
第1章: 近代風景画の源流
第2章: 自然への賛美
第3章: 大都市パリの風景画
第4章: パリ近郊 - 身近な自然へのまなざし
第5章: 南へ - 新たな光と風景
第6章: 海を渡って/想像の世界

第1章は神話の背景画としての風景画からスタート。クロード・ロラン「エウロペの略奪」が、ロランは風景が描きたかったことがあからさまにわかる作品。打ち寄せる波や木々、雲の浮かぶ空と海上の船にその筆力が発揮されていて見事だけれど、その割に主題のエウロペが牛に変身したゼウスにさらわれるドラマティックな場面は強調されることなく前景にさらりと。

この章、ルイ14世やら要塞やらの権力者の力を感じさせるもの、そして牧歌的なランクレ、ロベールの風景画にとどまらない主題など、意外に色々詰め込まれておりました。風景画の歴史として見ると少々突っ込み足りないと思われるけれど、単館の風景画でここまで…と思えば、ね(と、このおまじないをずっと唱え続けながら見たのでした)。

第2章は自然への賛美。コローが2つここに。「夕暮れ」が良かったなー。コワニエ/ブラスカサット「牛のいる風景」は風景より牛と羊のもふもふ具合に目が行ってしまう。動物が描きたすぎて普通の漫画に意味不明に動物を登場させ、それが「動物のお医者さん」につながった(うろ覚え)という佐々木倫子氏をなぜか思い出す(笑)。

第3章にルノワール「庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰」。オルセー所蔵の大作「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」で見覚えのあるドレスがここにも。ルイジ・ロワール「パリ環状鉄道の煙(パリ郊外)」の煙が濛々と立ち込める様子が印象に残ります。煙を吐き出す汽車はほぼ見えないのだけど、こうして煙が痕跡を残していくのがリアルに感じられて。この絵、宣伝媒体には全く出てこなかったにもかかわらず、見た人の感想に挙がる事がとても多いそうです。確かに。コルテスやベローなどパリの街中の風俗画的なものが並んでいるのも面白い。

第4章パリ近郊にモネ。メインビジュアルの「草上の昼食」はここに。モデルを務めたバジールとカミーユのモネへの愛情と献身にぐっときます。オルセー展で来日した同題作の下絵に当たるそう。オルセーのものは状態の悪い部分を切り取られて2つに分かれているのが残念だと思っていたけど、このプーシキン美術館所蔵のものを見た後では、切り取られて二つに分かれたことによって、逆に作品のパワーがアップしているように思えたり。

「陽だまりのライラック」は前回のプーシキン美術館展にも来てたよね。再会できて嬉しかったわ。他に積みわらと白い睡蓮も。モネ、シスレーからマティス、ヴラマンク、ピカソまで、印象派を中心に。

第5章は南へ。セザンヌが3点。ボナール、ルイ・ヴァルタもここに。この辺は人がばらけてかなり快適に見られました。みなさん前半でお疲れのようで…。第6章は海を渡って/想像の世界ということで、ゴーガン、ドニ、ルソーなど。ドニの多幸感に満たされる絵が良かったし、ルソーさんの「馬を襲うジャガー」も力作なんだけど…この部屋は人も作品も少なくてね…(笑)。

良い絵は来ていたので、その点は満足しました。あと、この人なんて読むのかなーと思っていた画家の名前が3人くらい判明した(=その人の絵を意識して以降初めて実物を見た)のも収穫。

ただ、(事前にわかっていたこととはいえ)65点は少々ボリューム不足かな。1つの美術館の所蔵品で、フランス風景画という括りで美術展が開けるのはすごいと思うけれど。セルゲイ・シチューキンとイワン・モロゾフによるコレクションが中心ということで、一番新しくて1927年の作品というのも少し物足りなさがありました(これも私が勝手に期待していただけ)。そしてその割に、二人のコレクターも光が当てられているようで当てられていないというか(笑)。絵と描かれた土地とを繋げて見られる人には楽しいと思います。そういう風に見てもらうべく作られた展示でした。

物販スペースに、テントなどのキャンプグッズやカラフルなオイルサーディン缶などが並んでいたのは目新しかったです。


「プーシキン美術館展 - 旅するフランス風景画」
2018/04/14-07/08 東京都美術館
2018/07/21-10/14 国立国際美術館

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