2018/04/23

「ユニマットコレクション フランス近代絵画と珠玉のラリック展 - やすらぎの美を求めて -」岩手県立美術館

移動して盛岡へ。岩手県立美術館で「ユニマットコレクション フランス近代絵画と珠玉のラリック展 - やすらぎの美を求めて -」を見てきました。神戸・盛岡・旭川・佐世保と巡回する美術展で、青山ユニマット美術館が閉館してから美術館巡りをするようになった身としては、ぜひ見に行きたいなーということで。今回はフランス近代絵画とラリックという括りですが、十分すぎるほど見応えがありました。系統だった展示ができるのはさすが美術館を持っていただけのことはある、と感心。

構成は以下のとおり。
第1章: バルビゾン派の画家たち - 自然への憧憬 -
第2章: アカデミスムから印象派へ - 伝統と革新 -
第3章: エコール・ド・パリの画家たち - 都市の詩情と憂愁 -
第4章: アール・デコのきらめき -ルネ・ラリックのガラス工芸 -

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最初のバルビゾン派、風景画のセクションは、暗い色調の絵が多くガラスに照明が反射して非常に見づらかったのが残念でした。最近そう感じることが減っているのは、低反射ガラスやそれに準じた素材で作品がカバーされているからだろうと思うのですが、そういうアップデートは個人コレクションには期待できないよね、、などと思いつつ。

出ていた絵自体は面白いものが多いといいますか、よく知らない画家なんだけど結構好きで、説明読んだらコローの弟子だった、というものが多数。コロー自身の絵も3点出てました。大きなサイズのものも多くて、アレクサンドル・ドゥフォー「養鶏場の春」はとても気に入りました。

第2章はブルドンやブーシェから印象派へと連なる流れ。こっちにもコロー。「愛の秘密」はクピドの顔などが未完成と見られているようですが、好きな絵だわ。ミレーの人物画は今まで「味がある」タイプだと思っていたけど、ここにあった「犬を抱いた少女」はコレクションを代表する美しい絵でした。エンネルが2枚あったのも嬉しかった。エンネルの弟子だというベンネルの裸婦像も良かったし、ファンタン=ラトゥール「オンディーヌ」まであってほっくほく。この審美眼には共感できるかも…。暗い背景に浮かぶレオン・リシェ「婦人の肖像」、ドガの踊り子、ルノワールの花や母子像、見応えあるセクションでした。

第3章のエコール・ド・パリも濁りのない絵が多くて全体に「綺麗」。デュフィやヴァンドンゲン、ドランのの女性像、素朴派ながらどこかヴァロットンの不気味さに通じるカミーユ・ポンポワなど、美術史の流れを追った展覧会だと割と流されがちなこの時代の面白い絵が集まってきたように思います。

それにフジタ!あのバラの絵はユニマット所蔵だったのか…。乳白色の裸婦像が何枚もあって関心。それに墨で描いた猫の絵がまた躍動感がすごくて。「シャーッ」て声が聞こえてきそう。

エコール・ド・パリの途中で時計を見たら既に1時間経過していました。大抵の企画展のボリュームなら30分で見てしまう私なのに、夢中になりすぎて時間配分を間違えました!30分後に来るバスに乗らねばならぬので、ここから駆け足です。

最後の部屋はラリックだからざっと見ればいいやと思ったら、これまたとんでもない。人物・妖精・女神モチーフに素晴らしいものがたくさんあって、ちょっとどうしようかと。うむむーこれはまたどこかでもう一度見たい。個人的にはビュールレ・コレクションよりずっと面白かったです。


残りの30分弱でコレクション展に挑みますよ。北東北の観光シーズンが本格的に始まる前に出かけて行ったのは、この岩手県美のコレクション展が4/22で終わってしまうからに他なりません。企画展のチケットで入れるなんで嘘でしょって位にものすごいボリュームで、逆に企画展がない時期に訪問しても十分な楽しめます。

最初の部屋で印象に残ったのが橋本花「津軽の春」。この旅で、秋田でも盛岡でも青森でもそうだったけど、いつも視界にこんもりした山が目に入るのですよね。それが今の時期はまだ雪をかぶっていて、吹き下す風がひんやりしている。その実感が絵に写し取られている、と思ったから。

特集展示は「あかをみる」。展示室一面に、いろんなニュアンスの赤で描かれた絵画が並んでいました。そして中央のテーブルには色見本が並んでいて、それを手に持ってどの赤と一致するか見て回ることができる。工夫された展示でした。私は色見本までは手が出せなかったけど、こういう美術館から鑑賞者の問いかけは大好き。いい美術館ですね。

萬・松本・舟越の部屋はほとんど立ちどまれずにぐるっと見て回るのが精一杯。それでも舟越の聖人像たちには足を止められましたが…もう本当に後ろ髪引かれまくってちょっと禿げた気がするほどでした。もう本当に時間配分を間違えた自分を恨むわ…。再訪必須。常設の充実した美術館としてオススメいたしますです。

ユニマットコレクション フランス近代絵画と珠玉のラリック展
2018年04月14日(土)―06月17日(日) 岩手県立美術館
今後の巡回:
2018年07月12日(木)―09月02日(日) 北海道立旭川美術館
2018年10月20日(土)―12月02日(日) 佐世保市博物館島瀬美術センター

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