2017/09/11

「英国 ウェールズ国立美術館所蔵 ターナーからモネへ」熊本県立美術館

熊本県立美術館で「英国 ウェールズ国立美術館所蔵 ターナーからモネへ」を見てきました。1907年設立の英国ウェールズ国立美術館のコレクションから、19世紀-20世紀初頭の英仏絵画を紹介するもの。広島、愛媛に続いて熊本が三ヶ所目。その後は岡崎、静岡、福井へ巡回するのですが残念ながら東京近郊には来ません。一番行きやすい静岡でもよかったのですが、どうせなら行ったことなくてコレクション展も楽しそうなところがいいよね。熊本ではちょうど「大熊本県立美術館展 リターンズ」も開催されていて、夏休みの旅行に提案したら賛成してもらえたので、こちらへ。

美術館の手前で、今見て来たと思われる小さなお子さん連れの素敵な奥様から、招待券を1枚譲っていただきました。なんて幸運、なんて優しい方でしょう。本当にありがとうございました。

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構成は以下の通り。
1章 ロマン主義
2章 リアリズム
3章 パリのサロンとロンドンのロイヤル・アカデミー
4章 印象派
5章 ポスト印象派とその後

1907年設立の美術館の歴史とコレクションの広がりと、同時進行していくフランスとイギリスの美術の影響の与え合いや変化とを紹介する展示でした。どのようなコレクターによって集められた作品が礎になったのかなど、ウェールズ国立美術館とちょっとお近づきになれたよう説明もあり。そんなに混んでいなかった展示室の雰囲気もあるのかもですが、1枚1枚の絵と親密に向き合えてよかったです。

思っていたより水彩画なども多くて、図録に掲載されたもののうち16枚は熊本では展示されていなかったので、おそらく巡回先によって水彩等は入れ替えているのでしょうね。ちなみに広島の出品リストは熊本と同じ内容でした。

大体が私の好きな時代なので並んだ絵も好きに決まっているのですが、ロセッティ、バーン=ジョーンズ、ホイッスラー、ティソ、アルマ=タデマと並んだ壁には張り付きたいほどでした。全体に品が良いものが来てたと思います。コローも、モネのヴェネツィアの絵もサージェントも好ましかった。ウェールズ所蔵ならあの絵が来るといいなと思っていたのはあまりなかったし、もう少し時代を狭めて掘り下げたものも見たかったけど、良い展示でした。

一番印象に残っているのはホイッスラーがサン・マルコ大聖堂を描いた「ノクターン - 青と金: サンマルコ大聖堂、ヴェネツィア」。最初その絵の前にたった時は、ほのかなガス灯のあかりは 夜の闇にぼんやり浮かんで見える大聖堂の奥までは届かないよね、なんだかひんやりと底知れぬ暗さだな、という印象。それがしばらく見ているうちに、まるで自分がサンマルコ広場に立っているかのような…そう、次第に闇に目が慣れて、大聖堂の奥まで見えるような気になったのです。ちょっとぞわっとした。

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企画展の後は、2Fの展示室で「熊本県立美術館展 リターンズ」。こういう、その美術館のコレクション全体を紹介するような展示はなるべく積極的に見たい派です。昨年開館40周年を記念して開催された「熊本県立美術館展」は熊本地震のため開会約1週間で中止になってしまったので、改めて今回開催されることになったんですよね。

こちらもコレクションから名品を集めてという展示で、コレクションの成り立ちもなぞりつつ見られる好企画。全館を使った前回の「熊本県立美術館展」、見たかったな、と改めて思いました。その時に展示されていた平田郷陽「髪」は地震で破損してしまったそうで、その修復の記録と共に修復済みの作品が展示されていました。そうそう、菱田春草の「黒き猫」、現品は初めて見たかも。

こちらには浜田知明版画室というのがありまして。美術館の版画収集には浜田知明のアドバイスがあったそうで、彼の自筆で画家の名前をズラっと記載したメモが展示され、続いて、デューラー、レンブラント、ゴヤ、ゴーギャン、クレー、ピカソ、と並ぶ版画。

それと、この美術館のユニークなところは装飾古墳室があるところですね。熊本県内の代表的な装飾古墳を再現した展示があり、とても興味深く見ました。

コレクションがしっかり充実した地方の美術館に来ると、地域の歴史と文化の一端に触れて、その地域に余計に興味がわいてきます。そう頻繁に訪問することは難しいし、展示で紹介された地方へ足を運ぶのも簡単ではないのだけど…でも、そんな出会い方もあるということで。

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