2017/06/25

「シャセリオー展 19世紀フランス・ロマン主義の異才」国立西洋美術館

すでに会期終了した展示ですが、国立西洋美術館「シャセリオー展」と「スケーエン:デンマークの芸術家村」を見て来ました。シャセリオー展にはモローが出ているというし、スケーエンの画家たちの絵は一度生で見たいと思っていたので、早く行きたくてウズウズしていたの。会期終了間近になって来たので、雀さんを誘って行って来たのでした。

先ずはシャセリオーから。

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構成は以下の通り。
1. アングルのアトリエからイタリア旅行まで
2. ロマン主義へ - 文学と演劇
3. 画家を取り巻く人々
4. 東方の光
5. 建築装飾 - 寓意と宗教主題

窓口に行くまで知らなかったのですが、私たちが見に行った日は常設展無料の日だったようで、その影響でシャセリオー展も少し混み合っていたように思います。国立西洋美術館の建物が世界遺産に認定されてから訪問者も多いと思いますし。きっかけが何であれ、美術展に足を運ぶ人が増えるのはいいことだと思うので、ここから興味を持ってくれるといいなーと。

で、シャセリオー展。正直に言いまして見る前は「モローも結構出てるらしいし、スケーエン展が見たいから行かないと」程度だったのですが、ごめんなさい、実際に見たら、すごくアカデミックで刺激を受ける展示でした。フランスでも過去2回しか回顧展が開かれていないという画家(もちろん日本では初めて)ですから、とても貴重な機会だったと思います。見られてよかった。ルーヴルの素描版画部門から出品があると、それだけでありがたいと思ってしまう(笑)。

けっして名の通ったとはいえない早逝の画家でありながら、フランス絵画の流れに確実に足跡を残した人だというのがよくわかりました。アングルの弟子でありながら後にロマン主義へと移行し、ルドンやモロー、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌといった画家たちに大きな影響を与えた人なんですね。油画の艶めいた質感も印象に残っています。

モローを軸にした目線の感想となります。
モローっぽい絵とつい言いたくなりますが、そうではなくてシャセリオーの絵にモローが大きな影響を受けたのですよね。シャセリオーとモローの「アポロンとダフネ」は本当によく似ていますし、シャセリオーのオリエント風味や文学を題材にとる点も、モローは引き継いでいるように思います。

モローが「若者と死」を捧げた人がシャセリオーだったのか、というのもようやく今回ちゃんとつながりました。今回来ていたオルセー所蔵の水彩は、油画よりも親しさがありつつ、モローの他の水彩画のような「敢えての隙」がない緊密さも強く感じます。これだけのためでも行ってよかった。モロー美術館からの、サロメやオルフェオの秀作もじーっくり鑑賞。

迷いに迷って図録は買わずに帰ったのだけど、やっぱり欲しくなりました。西洋美術館で通販はまだ受け付けているみたいだけど、ミュージアムショップで売っているかしら。主催がTBSだから売ってないかもしれないですね…。とりあえず次に上野に行ったらショップに寄ってみます。


その後は常設へ。楽しみにしていたスケーエン展は、常設展示室7(2階渡り廊下?のところ)から版画素描展示室までを使っています。その手前はいつもの常設。しかし入場無料とはいえ賑わっていましたよー。私が行った中で一番人が多かった気がする。

体力温存のため、今回はスケーエン展の手前はほとんどスルーでした。新収蔵品のカードがかかっていたのはエヴァリスト・バスケニス「楽器のある静物」には気がつきました。あと、コローの「風景」という寄託作品がありまして、私は初めて見たように思います。

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そして、明るい渡り廊下の途中から始まるスケーエン展。西洋美術館本館の中で一番明るいエリアをこの展示に当てたのはぴったりだと思います。P.S.クロヤーの絵に最初に惹かれたのは何がきっかけだったのか、今となっては思い出せません。明るい色彩と北欧の光と海に魅せられ、画家たちの英語版wikiを見たり画像検索で作品を探してみたり。生で見るチャンスなんて一生ないと思っていました。それが、日本とデンマークの外交関係樹立150周年を記念して日本で見られる幸せ。

想像よりもずっと大きなサイズのカンヴァスに描かれた漁師たちの絵からは船の軋む音が聞こえてきそうだし、海の水しぶきがこちらの顔にかかってきそう。魚と潮の匂いや漁師たちの服が立てる音さえ聞こえそうでした。室内の明るさもデッサンの明確さも、もしかしたら北欧の光の成せる技なのでしょうか。

絵が好きというだけで描いた人のことは知らないに等しかったけれど、今回の展示のおかげで少し深く知ることができたのも嬉しかったです。こちらは図録をしっかり買いまして、スケーエン絵画の成り立ちやコミュニティのこと、それぞれの画家たちについても詳細な解説がありました。嬉しい。宝物だわ。そして困ったことに、さらにスケーエンに行きたくなってしまったのでした。

なお、スケーエン絵画がデンマーク国外で展示されたのは今回が2度目で日本ではもちろん初めてのこと。これらの絵に使われている白い絵の具はデリケートで損傷を受けやすいため、国外展示はこれが最後になる可能性が高いそうです。ぎゃー、本当に千載一遇のチャンスだったのですね。西洋美術館での展示は終わってしまいましたが、愛知県の碧南市藤井達吉現代美術館で7月23日まで巡回展か開かれています。それが本当に最後のチャンス。私ももう1回見に行っちゃおうかな…。


「シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」
2017/02/28-05/28 国立西洋美術館

日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念 スケーエン:デンマークの芸術家村
2017/02/10-05/28 国立西洋美術館
2017/06/06-07/23 碧南市藤井達吉現代美術館

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