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2016/01/25

「神々の黄昏 東西のヴィーナス出会う世紀末、心の風景、西東」大分県立美術館開館記念展vol.2

24日で会期終了してしまいましたが、大分県立美術館開館記念展vol.2「神々の黄昏」を見てきました。”東西のヴィーナス出会う世紀末、心の風景、西東”という副題がついたこの展示には、ウィーンからグスタフ・クリムトの《ヌーダ・ヴェリタス(真実の裸身)》が来ていて、私はそれを目当てに行った訳です。


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板茂による建築も楽しみでいずれ行くだろうと思っていたのですが、クリムトが来るなら今回がいい機会かなーと。正直最初はコンセプトにもそんなに心惹かれなかったし、大分県立美術館のかっこいいけど使いにくいwebサイトには知りたい情報も掲載されていないしで、今ひとつ乗り気にもなれずにいたのですよね。

かなり長い間決断できずにいたのですが、そうこうしているうちにwebサイトは段々と使いやすくなって必要な情報にたどり着くのが簡単になり出品リストも掲載され、こういう細かいアップデートをするのはいいなーと思って。どうやら私の好物である20世紀の西洋絵画は少なくて、郡山市美からムーアとウォーターハウス、それと熊本県美のビアズリー「サロメ」が何点かとという感じだったのですが、逆に出品作品のラインナップが多岐にわたっていることに興味をかきたてられて、結局ほいほい出かけてしまったのでした。

構成は以下の通り。
Ⅰ章 見えざるものへのまなざし
Ⅱ章 物語を紡ぎ、再び生み出すこと宇佐
Ⅲ章 女神たちの⻩昏


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板茂さん設計の建築も主役、ですね。こちらは一階展示室入り口。二階の硝子張りのスペースはカフェ。

展示は一階と三階に分かれていました。一階が第1章、三階がそれ以降。前室は展示室と完全に区切られ、照明はぐっと落とされていて、硝子張りの共用スペースから入ると一瞬戸惑うほど暗さを感じました。自然と、スポットライトの当たった主催者挨拶に目がいきます。あれはよいイントロダクションだったなー。あのスペースで何かが切り替わった気がします。


宇佐神宮の狛犬と獅子が出迎えてくれた第1展示室。信仰であったり霊的なものであったり「見えざるもの」に対すしてわき上がるものが形に昇華したものたち。それこそ場所も時代も形式も様々なものが並んでいて、ぐわんと脳に刺激を与える展示でした。

上手く言えないけど、作り手の「見えざるものを捉えたい、解明したい、諫めたい、崇めたい、同化したい」…そういった衝動を見る展示だった気がします。どうしてそういう手法やその形なのかは分からなくても、その衝動の一端は分かる気がするな、とかそういう感じ。

クリムトと同世代のルドルフ・シュタイナーの黒板絵なども。彼が考案したオイリュトミーを踊るダンサーのスケッチを立体化したものも数点。これには興味津々。

マーク・ロスコやアド・ラインハートが並ぶ傍らに、宇佐市の極楽寺所蔵の髪繍浄土曼荼羅という、全て喜捨した毛髪で縫い上げられた曼荼羅があったり。この曼荼羅図は、最初それが毛髪だとは気付かずに見ていたのですが、でも何かただならぬものを感じてキャプションを見たら…と。この美術展はキャプションが最小限で、それもよかった気がします。多くの情報を入れず、目の前のものと対峙するのが。


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こちらは三階展示室入り口。

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そして振り返るとこんな展示も。


エスカレーターで三階に移動し、第2章以降を見ます。

第2章は宇佐をメインにした展示。宇佐神宮の絵巻ものや古墳の出土品、祭の面など土地ゆかりの物に、円空仏や古代ペルシャの装身具などと宇治山哲平の抽象画がならぶ空間。展示アプローチの意外な面白さを楽しみました。

唐突に飾られたイランの金製高杯(前10〜前6世紀・出光美術館)は何故ここに?と一瞬思ったけれど、金杯にほどこされた渦巻き模様が「ヌーダ・ヴェリタス」の渦巻き模様と金に呼応していると気付いた時は思わずにっこり。


さて、いよいよ「ヌーダ・ヴェリタス」とご対面です。右に天福寺 木造菩薩立像、左に宇治山哲平「煌」を従えた異色の展示。天福寺の木造菩薩立像の神々しさにはひれ伏す勢いで鳥肌が立ちました…。隣の女神に足がなかなか向けられない。

「ヌーダ・ヴェリタス」とはずいぶん長い時間対峙していたように思います。女神の足下にうねる蛇、こちらに向けられた鏡。時々他の観覧者がやってくると少し離れて他の展示物越しに眺めたりして、何度も近づいたり離れたり。平日の午後でしたので、空いていて幸いでした。

宇治山哲平の作品は他にも何点か展示されていましたが、ちょっとざらついたマチエールが印象に残っています。その塗り込める作業にも「祈り」のようなものがあるのかもしれない…と勝手に想像したり。この「煌」は他で見たら素通りしていたかもしれないと思うのですが、ここに並ぶ事で見える事がたくさんありました。


上のOPAM tweetで展示室の様子を見る事ができます。


女神たちに捧げられた第3章は一転して絵画中心。寺松国太郎「サロメ」(倉松市美術館所蔵)のなまめかしさ。ウォーターハウス「フローラ」アルバート・ジョセフ・ムーア「黄色いマーガレット」の美しさ。会期中盤の展示替え後でしたので、「あーこれ前半だけだったのね…」がけっこうありましたが、それでも大いに刺激を受ける展示でした。

残念だったのは、会場内にソファや椅子が全くなかったこと。ちょっと座ってじっくり見たいと思っても、座る場所がないのよねぇ。ぜひともそういうスペースも含めての設営をご検討いただきたいです。


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フリースペースは、あちこちに色んな形の素敵チェアが用意されていましたよん。


この日は常設が展示替えで休室。見られなくてとっても残念でした。でも、ここにはまた来ると思うから、その時にぜひゆっくりと。

時間に少し余裕があったので、カフェで「神々の黄昏」展限定メニューの甘い物を。ザッハトルテと大分の柚子ジャムのかかったバニラアイスのセット。うまうま。

このカフェのミールメニューには全てに久住高原サラダがつくそうなのですが、それがサイドディッシュにあるまじきボリュームで美味しそうなんですよねー。小鹿田焼の器もとても素敵。今回は時間も半端で食べられなかったけど、これも次回の宿題に。


この美術展の事を知った時は東京にも巡回してくれたらよかったのにと思っていたけれど、大分で見てこその展示だったと今なら思います。行ってよかった。いろいろ、今後の見方に影響があるハズ。


OPAMは大分駅から恐らく徒歩でも10-15分。アーケード内を通って濡れずに辿り付けるそうです。今回私は「大分きゃんばす」という100円循環バスを利用しました。

あと、会期中にもかかわらずJR九州で前売入場引換券という前売り料金で入れるものを扱っていたので、大分駅のJR九州旅行窓口に立ち寄ってgetしてから行きました。そのまま直接展示入口に向かったら、先に総合受付で絵入り入場券に交換するようにと丁寧に案内していただけました。中のみなさんも好印象。

建物の魅力がたっぷりでフリースペースも広いので、たとえばお向かいにIichikoグランシアターでご用があるときにカフェ利用っていうのもありですよね。2階のカフェだけでなく1階のアトリウムにもドリンク提供のカフェスペースがありました。こちらも気持ちよさそう。

#あれもこれもと詰め込んですっかり長くなってしまった…(笑)

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