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2016/01/23

徳島香川旅行 番外:大塚国際美術館

徳島香川旅行の初日に行った、鳴門市にある大塚国際美術館の感想です。

こちらは大塚製薬創立75周年事業として設立された美術館なのだそうです。トリップアドバイザーの2011年「行ってよかった美術館&博物館ランキング」で1位になり、日本一入館料が高い(大人3,240円)のに展示されているのは全てレプリカ、といった煽りで昨年ちょっと話題になったスポットでもあります。

今年話題になったのは美術館側がSNSでそのように仕掛けているのが大きいと思うのですが、私も1-2年前に読んだ美術系雑誌で「怖い絵」の中野京子さんがオススメされていた記事を読んで興味がわき、いつかは行ってみたいと思っていたのでした。(まーそれも美術館の戦略の一環だと思うんですけどね、中野さんと美術館は一緒に企画などされていますし)

それまでは「レプリカの並んだ美術館」という説明に対し、蝋人形館的な場末の観光施設をイメージしておりました。雀さんに最初に「こういう場所があってね」って話した時の反応もそんな感じだったものなぁ。だから今回一緒に行ってくれると聞いて、ちょっと嬉しかったです。


山をくりぬいて建てられた地下3階から地上2階までの巨大な展示フロアには常時1,000余点の美術陶板が展示され、それらを全て見るには約4kmの鑑賞ルートを歩く必要があるのだとか。全て見るには駆け足で3時間とも4時間とも言われる巨大さ。世界中の美術館にある有名絵画や古代壁画などを先方の許可を得て複製し、例えば「最後の晩餐」などは修復前と修復後のものが向かい合わせに飾られているので見比べられる、というココでしかできない楽しみ方も。

大人一人3,240円の入館料は、コンビニ端末などであらかじめ前売券を買っておけば3,100円、と少しだけ安くなります。でもコンビニ発券は券面が淋しいですよね。なので今回は羽田地下のファミマで1枚だけ前売券をゲットし、もう1枚は現地で絵入り?の入場券を買って入りました(笑)。


入場すると、まずは長ーいエスカレータで地下3階に上がります。コートと荷物を100円返却式のコインロッカーに預け、展示作品リスト(16頁!)と館内案内冊子をもらって約4キロの旅に出ます。館内撮影可(フラッシュと三脚不可・作品のみの撮影も不可)なのでデジカメ・スマホもお忘れなく。

まずはこの美術館の顔でもあるシスティーナ礼拝堂を模した環境展示から。本物を訪れた事がないので比べる事はできませんが、レプリカになることで宗教的意味合いが消えて、観光気分でも後ろめたさがないのは良いかも。ちょっと浮き足だっていたらしく、「アダムの創造」のETのアレをちゃんと見そびれたわ…(撮った写真には写ってましたw)。

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今回も断り無き場合は雀さん撮影です。


展示方法は、このシスティーナ礼拝堂のように古代遺跡や教会などの壁画を環境空間ごと再現した「環境展示」、美術史的な流れに沿った「系統展示」、それと「テーマ展示」と3系統ありました。下の階から順に見るように床に矢印で動線があったので、それに従えば全部見られるようになっています。

地下3階には他にスクロヴェーニ礼拝堂などの環境展示と、古代壁画、中世の宗教画、そしてフェルメールの部屋とエル・グレコの部屋がありました。ギリシャ神話好きには古代壁画が意外に面白かったです。

ありとあらゆるキリストの絵が並んだエリアは、どのキリストも男前に描いてあって「布教に男前は大事!」と深く納得したのでした。

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とかいいつつ、貼るのはオランダの別嬪さんなんだけど。


地下3階を見たところで、1階のレストランに上がってお昼にします。地下2階のカフェからはカレーの匂いが漂っていて「ボンカレーかな?」「ここでしか食べられない特別なボンカレーだったらどうする?」という会話があったとかなかったとか。(そういうボンカレーはたぶん提供されていないと思いますが、したらいいのにね)

レストランからは神戸淡路鳴門自動車道ごしに鳴門海峡が見えました。この美術館は当日に限り再入場可で、途中渦潮を見に出る人も割と多そうです。今回はスケジュールが押し気味だったのと、渦潮方面に近道ができる1Fのエントランスが12月から閉鎖になってしまったので断念。またいつか…ね。

(ランチについては特にふれません…)


ランチの後は、地下1階のバロック/近代から順に2階まで上がって見てから、地下2階に戻ってルネサンス/バロックを見ます。これは気力体力があるうちに私の好きな近・現代を優先しますよ、という攻略法。

完璧な計画だわ!と思っていたのですが、地上1/2階は建物が細かく分かれていて特定のエレベーターに乗らないと正しく目的の場所にたどり着けないという罠がありました(笑)。フロアマップをしっかり見ておけば、そこに行く為にはエレベーター1に乗れ、などと指示があったんですけどねー。


地下1階は楽しかったです。私が一番親しんでいる時代も画家もだいたいここに集約されていました。サージェントもホイッスラーも印象派もファンタン=ラトゥールもトーロップやムンク、ヴュイヤール、ヴァロットン、ルソーさん、モロー、クリムト、シーレ、セガンティーニ、ゴッホ、シュワーベ、ラファエル前派。フラゴナールやブーシェなどその前の時代の絵もゴヤの家もここに。

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これは私撮影。

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これも私撮影。このあたりの照明はちょっと興ざめではあるかもしれない。


この時代くらいになるとオリジナルを見た絵も多くて、その分「あー…」と思う事もけっこうありました。特にゴッホなんかは陶板にした時どれくらい絵の具を盛っているかと楽しみにしていたところもあったので、やっぱりあの叫びのような力強さまで再現するのは難しいのだな、と。でも、例えばそこに並ぶ絵を見ながら「あーこれはどこそこで見たよね」とか「あのとき見そびれた絵だ」とかいう話をしながら見られるというのは、この美術館ならではかなと思います。


1/2階はエコール・ド・パリやピカソ以降、ポロックやデ・クーニング、ロスコなどまでの現代展示と、テーマ展示の建物とに分かれてました。テーマ展示の方は時代は様々で「時」とか「トロンプ・ルイユ」とか「食卓の情景」などのテーマに沿った作品が並んでいました。この展示方法は美術展っぽくて楽しいですね。それぞれは小さなスペースだったけど、面白かったです。

中でもワタクシの好きなテーマである「運命の女」が超ツボ展示。モロー「まぼろし」、クリムト「ユーディットI」、ウォーターハウス「海に毒を流すキルケ」、シュトゥック「罪」、セガンティーニ「悪しき母たち」、クノップフ「愛撫」などなど。もし下から順番に見てきて疲れ過ぎてor時間が足りず2階をパスしてたら泣いてたわー。

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私撮影。

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これも私撮影。ここは照明はよかったんだけど、こうして見ると壁が残念(笑)。


ということで満足して地下2階へ戻りました。このフロアには屋外にオランジュリーのモネの睡蓮の陶板が並んでいます。それを囲むように夏場は睡蓮が花を咲かせる池も。一旦建物の外に出て行って見る訳ですが、か、風が冷たいー。

池にはこの寒い中、一輪だけ青い睡蓮が咲いていました。まじかー!と驚いていたら、後ろから午後の鑑賞ツアーのみなさんがいらして、ガイドさんが「みなさん本当にラッキーですね、この時期に奇跡的に青い睡蓮が一輪だけ咲いています!」と紹介されていました。でも雀さんはとても懐疑的で(笑)「(本物がない美術館だけに)あれもレプリカなんじゃないの?」と。

(モネの絵と青い睡蓮の写真は、それぞれ季節のせいかどうも寒々しいので自粛しますw)


地下2階、ルネサンスとバロックも面白く見られました。そんなに興味のない時代だと思っていたけど、ちょうど後ろから来たガイドツアーの説明を私たちもところどころ聞かせてもらったのが大きいかな。「最後の晩餐」の見比べ解説はドラマティックですらありました。

時間に余裕があるのならば ガイドツアーは参加した方が面白いでしょう。自分のペースで見るのも楽しいし疲れないけどね。ということで気付いたら駆け足ながら全部回っていたのでした。数が多いので、気がつくと「あーこれは見た、これは好き」と写真バシバシ撮りながら見飛ばしていたかなーと…。とにかくお疲れ。

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受胎告知あれこれ。全部私撮影っぽい。


B1の睡蓮の池を見られるカフェで一休み。プリン+ケーキ+ドリンクという立派なセットをとることになってしまいました。プリンだけでよかったんだけどなーと思いつつ…雀さんにだいぶ手伝っていただきました。ごちそうさま。

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それにしても大塚国際美術館、日本人画家の絵も1枚もありませんでしたねー。日本の美術館所蔵品も。まぁ日本の方が何かと権利関係も厳しそうだもんね。あと、ここは美術館というより美術テーマパークだな。

陶板複製って凄い技術ですね。環境展示と古代壁画やモザイク画は陶板複製にすごく向いていると思いました。バロック時代くらいまでの絵の具の使い方にも合っていると思う。19世紀後半以降さまざまな素材や手法や用いられるようになって以降は、陶板だと再現の難しい部分もあるのかな、と。おそらく、私の好きな時代の絵がその変化以降のものが多いので、その分しゅんとしたのかも。

そんな感じで一通り見て満足しちゃった気もしますが、もし次に行く機会があるならばぜひガイドツアーに参加してみたいです。あと渦潮ね。


不満は交通の便ですね。この美術館も(近くの)渦潮見物も観光客が集まるスポットなのに、公共交通機関が平日1時間に一本の路線バスだけというのは、なかなかキツイ(週末はもう少し多いです)。車で来るのが一番オススメかな。せめてタクシー常駐ならねー。

あ、でも、私たちの旅程がその日のうちに高松に移動して夕飯/宿泊だったので余計にそういう印象を受けたというのはあるかも。徳島や鳴門泊ならもう少しのんびり構えていられたと思うので、次に行く機会があるなら、そうしようと思います。

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