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2015/03/24

「幻想の系譜 ゴヤからクリンガーまで」神奈川県立近代美術館鎌倉別館

神奈川県立近代美術館鎌倉別館で開催していた「幻想の系譜 ゴヤからクリンガーまで」を見てきました。2年くらい前だったか富山で見た「ロマンの系譜」もゴヤから始まる系譜だったせいか、ずっと同じタイトルだと思い込んでいました。巡回展じゃないのは理解していたのですが…引っ張り出してきた富山の図録を見て「違うじゃーん!」と自分に驚いたよ。どちらも同じ本流を持つ川の流れではあるけれど、いやはや。

春休みに入ったせいか普段もこんなものなのか分かりませんが、鎌倉は平日でも相当賑わっておりました。私自身は20年以上ぶりの鎌倉訪問。
うちからはしみじみ遠い鎌倉よ(五七五・笑)。

鶴岡八幡宮にお参りして、まずは本館の神奈川県立近代美術館鎌倉で「湘南の画家たち」を。小倉遊亀「牡丹」と片岡球子「面構 等持院殿」が印象に残っています。来年の閉館前に来られて良かった。坂倉準三設計の建物はモダンで最近の美術館の建物とは違った趣きですね。おそらく展示には制限がいろいろあるのだろうと思いますが、耐震の問題はクリアできそうだというし、諸問題を乗り越えてせめて建物は保存できるとよいですね。


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さて。坂道をとことこ歩いて鎌倉別館へ。こちらは1984年の建築だそうで、それでも30年は経っているのですね。展示スペースの壁が板張りだったりするのが新鮮でした。鎌倉館の鑑賞券で当日に限り無料観覧できます。(一般の観覧料も250円だけども)

構成というか、展示作品は以下の通り。
1. フランシスコ・デ・ゴヤ「ロス・カプリーチョス(気まぐれ)」
2. ウィリアム・ブレイク「神曲」
3. ウジェーヌ・ドラクロワ「ハムレット」
4. ロドルフ・ブレダン《農場の家》(「ルヴュ・ファンタジスト」より)
5. エドヴァルド・ムンク《二人:孤独な人たち》
6. オディロン・ルドン「ゴヤ頌」
7. オディロン・ルドン「幽霊屋敷」
8. オディロン・ルドン「悪の華」
9. マックス・クリンガー「ブラームス幻想」


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神奈川県立近代美術館が所蔵する版画で構成されたコレクション展です。もう一度だけ「ロマンの系譜」を引き合いに出しますが、今回の展示に出て来た画家は「ロマンの系譜」でもみな登場していました。出展されている作品は違うけれど、そんなところも勘違いした理由かも。

鎌倉別館の展示の良かったところは、ゴヤから(ボードレール、ドラクロワ)ルドンへの流れ。ルドンの「ゴヤ頌」は正にゴヤに捧げる作品だし、「悪の華」はゴヤとドラクロワに影響を受けたボードレールの詩集ですしね。

展示の目玉であり、イソイソと鎌倉まで出かけていった理由でもあったのが、クリンガーの「ブラームス幻想」。ブラームス60歳の記念に捧げられたこの作品、ブラームスはとても気に入ったようでクララ・シューマンにも本作を贈ったのだとか。

取り上げられた6曲は歌詞の紹介が別途ある他、実際にそれらの曲を試聴できるスペースもあり。楽譜と版画とを組み合わせたもので、両面印刷なのでガラスに挟んで立てて展示されているものがほとんど。全葉展示を食い入るように見つめてきました。

ただ、両面刷り故もう本当に仕方ないのは分かっているのですけれど、どうしても裏側の刷りが透けて見えますね…。照明での工夫も限りがあるとは思うのですが、片方からの照明が強い展示だと両面はキツい(それでも見られないよりは見られる方が嬉しいのでいいのですが、でも惜しいなー)。

クリンガーに限らず展示全体にも言えるのですが、照明がガラスに反射してしまって見えにくいというのもありました。展示のベースラインが低めだったこともあって、見る角度を何度も変えつつじっくり鑑賞していたので、かなり不審な動きをしていたかも(笑)。


この展示、別館だけの独立したチラシはなく鎌倉館と共通だったんですよね。コレクション展だから図録もないだろうし、出品リストだけなのは淋しいなーと思っていました。確かに出品リストだけだったのですが(でも受付に並んだポストカードに「ブラームス幻想」のものが2枚あったのでそれは買いました!)その出品リストがとてもよかったのです。

チラシと同じ種類のA3用紙にカラー印刷で、簡単な解説や数点の図版を入れたもの。それをちょっと辺をずらせて4つ折りに(上の同展ページリンク先に出品リストPDFがありますが、それに少しプラスしたものでした)。凄く嬉しかったです。鎌倉館の方は普通の(?)出品リストだったから余計に。そんなトコロも含めて、とてもよい美術展でした。往復4時間の甲斐があった(笑)!


幻想の系譜 ゴヤからクリンガーまで
The Genealogy of Fantasy: From Goya to Klinger
2015/01/24-03/22 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

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