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2015/02/28

「ホイッスラー展」横浜美術館

少し前ですが、横浜美術館で明日まで開催中の「ホイッスラー展」に行ってきました。ずっと開催を心待ちにしていたのに、なかなか行けなくて焦りましたー。会期終了まで3週間ほどの頃だったので、平日昼間でも思ったより人は多かったかな。もちろん、それでも空いている絵を選んでいけば快適鑑賞できる位でしたけど。

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構成は以下の通り。
第1章: 人物画
第2章: 風景画
第3章: ジャポニスム


ホイッスラーの回顧展は日本では27年振りだそうです。このタイミングでの回顧展、私にはとてもラッキーだったかも。気がついたらけっこう長居をしてた気がします。横浜美術館はコレクション展も盛りだくさんなので、時間がたっぷりある時に行かないとね。

さて、ホイッスラー展。けっこうあちこちの美術館から作品が来ていました。クールベからの影響はよく触れられる話ですが、ファンタン=ラトゥールとの交流やベラスケス、アルバート・ムーアの影響なども見る事ができ、自分がなぜホイッスラーを好むのか理由の1つが納得できたような。この方、元々才能のある人だったのでしょうけど、更に貪欲に様々なスタイルを学び、取り入れ、或いは捨てて自分を確立していったというのがよくわかりました。

でもねー、思い返してみると「好きだわー」「この絵が見られるなんて!」とテンションはだだ上がりであったものの、キャプションや音声ガイドから得たはずの知識は全く記憶に残っていないわねー、と。毎度の事ながら、がっかりするわ自分に。


ということで、印象に残った絵についてだけは少し書いておこうと思います。

黒のアレンジメント No.3: スペイン王フェリペ2世に扮したサー・ヘンリー・アーヴィング
ベラスケスはフェリペ4世の絵を描いたけど、ホイッスラーはその祖父フェリペ2世に扮した俳優をベラスケス風に描いたのね。

ライム・リジスの小さなバラ
ホイッスラーが描く女性の絵はおそらく日本人好みのものが多いと思うのだけど、これなんてその最たるものではなかろうか。ライム・リジス市長の娘ロージー・ランドルを描いたものだそう。

肌色と緑色の黄昏: バルパライソ
従軍先のヴァルパライソで描かれたもの。描く前にあらかじめパレットに絵の具を準備しておいて、日が暮れてしまう前に素早く描きあげたとの事で、実際この絵からはその素早い筆致が私にも見てとれるのでした(奥の方の絵の具のかすれ具合とか)。のちのホイッスラーはこの手法をよく用いるようになるそうで、その最初の1枚だったとか。

サンタ・マルゲリータ広場の鐘楼
風景画・人物画に限らず、ホイッスラーが紙にチョークやパステルでささっと描いた(ようにみえる)絵が好き。この絵だけでなく他にも何枚もきていて、それが嬉しかった。世間一般にはこういう絵は割とスルーされがちなのか、みなさんけっこうスキップされていたので心おきなく見られたし。

青と金色のハーモニー: ピーコック・ルーム
現在はフリーア美術館で保存公開されているピーコック・ルームは映像で紹介。この部屋がこの内装になった経緯がまったくホイッスラーらしくて笑えます。
ホイッスラーのパトロンであったフレデリック・レイランドがホイッスラーの「陶器の国の姫君」などを飾る為の部屋をつくろうと他のデザイナーに依頼。高価なアンティークレザーなどを用いた内装がいよいよ完成間近になったところでそのデザイナーがドアの色などをホイッスラーに相談したところ、彼はそれが自分の絵に合わないから自分に少し手を入れさせろとレイランドに頼み込み、そのレイランドが出張している間に丸ごと自分の趣味に改装してしまった、と。しかもこの部屋を自分の作品として内覧会まで(笑)。レイランドとは支払いで揉めに揉めたそうですが、結局は半額支払いで決着がついたとか。その割にはレイランドは生前この部屋に手をいれる事なく使い続けたそうですけれど。

白のシンフォニー No.2: 小さなホワイト・ガール
白のシンフォニー No.3
この2枚は並んでいました。本展の目玉よね。どちらの絵にも左手前にアザレアが配されていて、アルヴァート・ムーア的、という音声ガイドに深く納得したのを覚えています。No.2のモデルは愛人だったジョーで(No.3の一人もジョーだけれど)、この絵が描かれたのは二人が別れる少し前だったとか。鏡にうつる淋しげな女性の表情がそんなドラマを思わせるのでしょうね。
風景画を素早い筆致で描いたというのは先のセクションで分かったけれど、実はこの辺りも筆遣いはけっこう素早かったように見受けられました。

三人の女性: ピンクと灰色
この辺のセクションはムーア的とも言える古代ギリシア風の衣装と日本的なものとを組み合わせた「グレコ=ジャパニーズ」が何点も。この辺りの絵、大好き。

ノクターン: 青と金色 - オルド・バターシー・ブリッジ
浮世絵の影響が顕著に見られる絵、ということで、広重「名所江戸百景」《京橋竹がし》と並んでの展示でした。うっすら浮かぶ花火と手前の橋の深い影。

ノクターン 『ノーツ』より
リトティントでテムズ川を描いたもの。他にもノクターンシリーズはいろいろ並んでいて、どれもとても好ましかったのですが、この絵は単色濃淡が墨絵のようにも思えるし、クノップフが描いたブルージュの街を思い起こさせもし。絵に物語を込めるのではなく、絵そのものの構成調和を重んじた彼(なので音楽用語を多用)だけど、この絵などは象徴主義っぽさがあるようにも。

ホイッスラーは版画の技法についても様々に使い分けて(しかも洗練され習熟度も高い)いて、それらも非常に見応えがありました。版画の数がかなり多い展示だったけど、いくら見ても見飽きない面白さでした。ここでは挙げなかったけど「テムズセット」なんて波止場の様子といい労働者たちの姿といいリアルな描写。


…かなり端折ったつもりですが、それでもけっこう長くなってしまいました。これ、今年の私的ベスト5に入るかなー。楽しかったです。
充実のコレクション展についてもページを分けてちょっと書こうと思います。

ホイッスラー展
2014/09/13-2014/11/16 京都国立近代美術館<終了>
2014/12/06-2015/03/01 横浜美術館

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