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2015/02/27

「紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本」ポーラ美術館

先日、雀さんと箱根のポーラ美術館に行ってきました。現在開催中の「紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本」がどうしても見たくて、会期末までに行きましょうねって話していたのですが、この日の予定が空いた雀さんにお誘いを受けたのでした。

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構成は以下の通り。
序章: 愛書家D氏の書斎へようこそ
第1章: ドガとトゥールーズ=ロートレック「本を編む」
第2章: パスキン、フジタ、ローランサン「挿絵を描く」
第3章: シャガール「物語を彩る」
第4章: ルオー「光を与える」
第5章: ピカソ、ドラン、マイヨール「古典を旅する」
第6章: マティス、レジェ、ブラック「空間をひらく」
第7章: ミロ「宇宙を紡ぐ」
第8章: ダリ「世界を創る」

それぞれの画家たちの本と他の作品で構成された展示です。本、つまり印刷物ですからポーラ美術館を含めたあちこちで見たものもありますが、展示テーマが違うから見方も変わってきて面白いです。


始まりは「愛書家D氏の書斎へようこそ」。D氏の書斎にお邪魔して貴重なコレクションを見せていただくような作りになっています。D氏とは20世紀初頭の美術品コレクター、ジャック・ドゥーセという方だそう。ローランサン、マイヨール、ピカソの挿絵の入った豪華本は装幀もお見事でうっとり。壁にはピカソ、ローランサン、ルソーらの油画が並び、D氏は同時代の画家を支援してらしたのね、とも。この時代のパリに自分が生きていたなら、と何度となく想像している私にとっては、ヒューンと夢の中に飛べるイントロダクションでした。


今回の展示を見てつくづく思ったのは、油画にそんなに惹かれない画家でも挿画になると印象が全く違って凄く魅力的に見えたりするのだな、という事。第1章のドガやロートレックは油画やパステルと版画でそんなにスタイルは変わらないのだけど、時代が変わるにつれて画家にとっての挿画の位置づけが変わってくるからなのか、表現手法が多岐にわたってくるからなのか、とにかく面白い。

それはもう第2章のエコール・ド・パリの画家たちの時代から違ってくるのですよね。その代表格がパスキン「サンドリヨン」かもしれない。私はパスキンは版画が一番好きで、中でもサンドリヨンの挿画は本当にいいと思うの。綺麗可愛いって絵じゃないのだけど、生き生きしててちょっと滑稽で。今回もこれを目当てに行ったようなものです。今回の展示品から1つだけ手に入るとしたら、この「サンドリヨン」がいいな。

ドランの挿画も切り絵的なタッチが面白かったし、レジェもブラックもミロも、油画を見てもスルーしがちなのに挿画は凄く面白くて。この辺りの面白さを知れたのが収穫でした。特にミロは興味出てきたかも。


印象に残ったのをいくつか。
ロートレックについては、ちょうど今ムーランルージュのバレエ(ストーリーは独自のもの)を映像で見たばかりで、そこで活躍した女優さんなどの事もぽちぽち調べたりしていたトコロだったので、その流れで知ったイヴェット・ギルベールがあったのは「!」でした。表紙に描かれているのが、彼女がいつもつけていた黒長手袋だというのも面白いなーと思って。こちらでその絵を見られますが、手袋というか、まるで意志を持った生命体のようなのも楽しい。

ローランサン「不思議の国のアリス」は当時の現代的な女の子の絵で、この絵をルイス・キャロルの文章に添えて読むのはさぞ不思議な気がした事でしょうね。むしろ隣にあった「クレーヴの奥方」の方がローランサンには合っていたかもしれない。

フジタが手掛けた本は何度か見ているけど、「しがない職業と少ない稼ぎ」が元々本の挿絵だったというのは初めて知った気がする。

シャガールは「ポエム」が面白かった。木版+コラージュは全体に淡い色彩で、絵も割とあっさり目。イロイロ見た後だと「サーカス」はやっぱり力作だなーとも。前期に出ていたという「オデュッセイア」も見たかった。


でもせっかく本があるのに中を全部見られないのは残念よねー、毎回挿画の展示があるたびに思う事だけど。今回は会場に2台タブレットが置いてあって、そこで2作品を電子書籍のようにページをめくって見られるようになっていたのはとてもよいアイデアだと思いました。できたら紹介した本全てが見られたら最高だけど…。あと、絵を拡大できると嬉しいな、とか。そして書物の内容も、もう少し紹介があると更に興味がわく人も多いんじゃないかな。

今回の企画展はB1FだけでなくB2Fの一室も使っていて、普段とは違う使われ方も新鮮でした。B2のロビーにマティスの「ジャズ」切り絵模様を配したコーナーが出来ていて何やら映像を見られるようにもなっていて。このコーナーに配置されたソファの座り心地がよいらしく、坐った人が動かないので(笑)残念ですがそちらはスルー。ここのところのポーラ美の展示は「体験型」が増えて凄くよいと思います。応援。


常設は日本人画家の作品から。私の好きな満谷国四郎《樹下裸婦》に再会できて嬉しかったです。それと、名前を失念してしまった人の絵。全体に黄色くて(笑)。その絵の正面に向き合って見た時はそうでもなかったのだけど、その後の西洋絵画の方を回ってからふと目線をやった時にグっと来て思わず戻ってしまいました(なのに名前もタイトルも忘れてるし…)。ポーラ美術館のサイトに「展示中の絵画」というページが出来ていたのだけど、そこにはなかったと思う。姓名漢字2文字の人だったと思うんだけどー。ポーラ美術館は企画展の出品リストを置いてくれるようになったのは本当に嬉しいのだけど、せめて絵画だけでも常設にも出品リストを置いてほしいわ…。

西洋絵画も名品オールスターズ。ルノワールもモネもピカソもよい品が並びます。西洋絵画はほとんど見たことあるものだと思うのだけど、今回改めてやっぱり好きだなーとよい絵だわーと思ったのはルドン「アポロンの二輪馬車」でした。


最後に、コレクション展の企画としてシリーズで続いている「じっくり/JIKKURI」。今回は光がテーマで、モネ「エトルタの夕焼け」とボナール「浴槽、ブルーのハーモニー」を普段ポーラ美術館で作品照明に使っている「7月のパリの夕暮れ」の光と、それよりも赤みを帯びた光、青みを帯びた光(それぞれ名前が付いていたけどメモってくるの忘れた…)の計3種の光とで変化させて見てみましょう、というもの。こういう企画、楽しいですよね。風景画だけでなく人物画でも、っていうのがいいな。

化粧道具とガラス工芸もいつも通り安定の美しさ。今回化粧道具は江戸時代の漆が中心で、それがけっこう面白かったです。


鑑賞後は館内のカフェ・チューンでお茶。いつもレストランの方ばかり利用していたのでカフェは初めてでした。ケーキ美味しかったよ。


ポーラ美術館に行くようになって結構経つと思うけど、今回初めてポイントカードを2年の期限内にコンプする事ができました。それによって期限なしの招待券をいただいたので、次のセザンヌ展はこれで行かないとね(笑)。

「紙片の宇宙」展は3月29日まで。西洋絵画好きだけでなく、本好き、装幀好きの方にもお勧めです。


紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本
2014/09/21-2015/03/29 ポーラ美術館

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