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2014/10/27

「華麗なる英国美術の殿堂 ロイヤル・アカデミー展 ─ターナーからラファエル前派まで─」東京富士美術館

東京富士美術館で開催中の「華麗なる英国美術の殿堂 ロイヤル・アカデミー展 ─ターナーからラファエル前派まで─」を見てきました。ここに行く時は雀さんに車を出してもらって週末に行くのが定番だったのですが、「光の賛歌」展の時に週末激混みで閉口したので まずは開始直後の平日に行ってみよう、と八王子からバスに揺られて行って参りました(つまり、もう1ヶ月以上前の事…)。早々に見た事、よい美術展だった事に満足しきって、すっかり感想書くのを忘れてました。

すっごい面倒な場所にある印象がありますが、遠征先でのバス利用に比べたら楽勝でした(笑)。まぁうちは八王子そんなに遠くないですからね。都心からはるばる八王子まで来る方はその時点でへとへとでしょうから、更にバスっていうのはね…。そのバス便は15分に1本くらい?他のルートも合わせるともう少し多いのかな。乗っている時間も15分前後だったかと。アクセスのよい都心の美術館とは比べものにはなりませんが、私からすれば十分許容範囲でした。

構成は以下の通り。
1. 設立: 名声への道、1768-1837
2. 国家的地位の確立、1837-1868
3. 名声と繁栄、1867-1895
4. モダンの受容: 黙認と妥協、1895-1918
5. アーティスト教育


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常設をイントロダクションに企画展へ進むスタイルは今回も同じ。つか、みんなエレベーター上がったらまず左折して常設を見ていくのだろうと思っていたのですが、そのまま右前方に進んで企画展見る人もけっこういるみたいですね。いやいや、先に常設見る方が面白いですよ、ここは絶対。

今回は常設の最初の部屋にあったバッキアカ「ヴィットリア・コロンナの肖像」がよかったなぁ。大きな第6展示室が特別展との関連展示で、今回はロイヤル・アカデミーに所属する画家のうち富士美が所蔵する作品をどどーんと一挙に。壮観でありましたよ。どんな切り口でも迫力ある展示ができる館だなぁと。

この中では群を抜いてサージェント「ハロルド・ウィルソン夫人」が好ましかったです。女性の知的な顔立ちと、洋服の質感がたまらん。相当なスピード感を思わせる筆運びのように思えるのだけど、細かい描き込みではないのにブラウスの胸元のチュールや厚い上着、たっぷりとしたスカート、、、たまりません。

小企画の部屋は写真のコレクション展示。「19世紀ピクトリアリズムの作家たち」という19世紀のビンテージ写真。この時代、写真と絵画は非常に関係が深いけれど、レンブラントの絵へのオマージュとして、その絵画の登場人物に扮したモデルを絵画のように並べて撮影した写真が興味深かったです。そして、ルイス・キャロルが撮影したエクシー・キッチンの写真、とか。ヴィンテージ写真の面白さはここで教えてもらっている気がします。


そしていよいよ特別展へ。混雑はさほどでもなく一安心。
ロイヤル・アカデミーの歴史イコール英国美術の歴史、それがぎゅっと凝縮されていて圧巻でした。年代順に区切られた章立てによって、アカデミーの成立から組織と美術界の変容がよくわかるような展示になっていました。

じっくり見て回っていると、額縁に「DIPLOMA WORK」と銘打たれたものがいくつもあるのに気がつきます。これは、ロイヤル・アカデミー会員から入会の推挙を受けた画家がアカデミーに提出する作品(その後審査で認められれば会員になれる)。つまりは、その時点での一番の自信作ですよね。そんな作品がざくざく飾ってあるのですからたまりませんわ。

気に入った作品をいくつか。
初代会長ジョシュア・レノルズ「セオリー」。そしてフュースリの大作「大蛇ミズガルズと戦う雷神トール」。後者は133x94.6というサイズ以上に大きく見えました。ちょっと高い位置にディスプレイされていたのだと思いますが、それゆえに ほの白い身体が照明に浮かぶ雷神トールを見上げる形で鑑賞するのは迫力を感じる体験でした。

でも基本的に私は美人さんが描かれた絵が好きなのね(笑)。そういう意味でも満足度が高かったこの美術展。ジョン・コルカット・ホーズリ「居心地のよい場所」は暖炉の火に頬を赤く染めた少女がいる室内の装飾も素敵だし、窓辺に飾られたスノードロップが少女の美しさに呼応していて、冬のお日様の心地よい暖かさも伝わってくるよう。

第3章に入るとアルマ=タデマ、ポインター、J.F.ワッツ(この美術展ではウォッツ)、ミレイ、F.C.クーパー、ウォーターハウスと好物が続いて悲鳴を上げたくなります。中でもアカデミー会長にも就任したミレイの「ベラスケスの思い出」は何度も何度も見に戻って、その度にうっとりして前から離れられない作品。大好き。それに、クーパー「虚栄」ね。この人の別の作品を確かラファエル前派展で見たと思うのだけど、たまらなく好み。この絵の前からも離れられなかったわー。

更にはウォーターハウス「人魚」もいて。この第3章だけでも来た甲斐があったし、なんなら第3章のテーマだけで1つ美術展やっていただいてもいいんですよってな位です。

私のハイライトは終わったな…と第4章に踏み入れたら、ここもまた好みが渦巻いてました。もちろんフランス絵画でストライクの時代ならイギリス絵画だって好きだよなっていう。今まで知らなかったor意識してこなかったジョージ・クラウセンという人の作品がいくつも並んでいて、それがとても好ましかったです。タッチというか空気感というか。アカデミーのブログで2014年8月の「Artist of the Month」として紹介されている作品全てが展示されていました。

更にフランク・ブラムリー「内緒ばなし」の柔らかい色彩。ジェイムズ・ジェビューサ・シャノン「ブラック・アンド・シルバー」は女性の美しく凛とした表情と(目の際に赤が入れられていて、頬と唇とともにハっとさせられます。背景の錦織りっぽいカーテンとモデルの服と表情と。これは凄く気に入りました。

ほとんど満足しかけたトコロにサージェント。「室内、ヴェネツィア」「庭の女性たち、トッレガッリ城」。いやーありがとうございます!見たかったです。後者、小さな画像だとわからないけど、女性たちはカシミアをまとっておりますね。サージェントの「カシミア」は大好きな絵なので、そのモチーフが入った絵が見られて嬉しかった。

神話好きとしてはチャールズ・シムズ「クリオと子どもたち」に胸を締め付けられ。。どこまでも広がる青い空と草原という牧歌的な場所で歴史の女神クリオが幼い子供たちに本を読み聞かせている…のだけど女神は頭を垂れ、視線の先には血で汚れた書物。


最後の章には、教育機関としての側面が紹介されていました。11歳でアカデミー入学を認められたミレイが12歳の時に描いた素描の見事な事。こういった後に高名となった画家たちの若い頃の作品を見られたのも面白かったし、高速度写真機を使った人間や動物の動作を連続撮影したものなんかもユニークでした。確かにそういうテクノロジーを使った探求抜きにはリアルな動きをカンヴァス上に残す事は難しいですものね。版画系も数はそう多くないけど様々な技法によって作られた作品が並んでいて面白かったです。サミュエル・パーマーいいな!

今回の展示は、日本で割と知られた名前の読み方とは敢えて違う(本国風?)読みで表記された人も(上に書いたウォッツを始め)割と多かった気がする。。こういうのってアカデミー主導なのだろうか。


ということで大満足の展示でした。快適鑑賞環境だったのもよかった。あと1度行きたいなーと思っているけど、もうあのように空いた会場は期待できないだろうなぁ。この後の巡回は静岡市美と愛知県美で、私はどちらも好きな美術館だけど常設と併せて楽しむには富士美術館が一番な気がする。愛知県美は一緒に何を展示するのかなー。展示手法自体は愛知県美もよさそうだと思っているのだけど。


華麗なる英国美術の殿堂 ロイヤルアカデミー展
2014/09/16-2014/11/24 東京富士美術館
巡回
石川展 2014/08/01-2014/08/31 石川県立美術館(終了)
静岡展 2014/12/06-2015/01/25 静岡市美術館
愛知展 2015/02/03-2015/04/05 愛知県美術館

# インターネットミュージアムのレポ

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