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2014/09/22

「モディリアーニを探して - アヴァンギャルドから古典主義へ」ポーラ美術館

既に終了しておりますが……ポーラ美術館「モディリアーニを探して - アヴァンギャルドから古典主義へ」を見てきました。

モディリアーニ、生誕130年なんですね。今あちこちで美術展が開催されている竹久夢二も生誕130年。(夢二とロートレック展、というのがあるのでロートレックも同い年かと思ったら、ロートレックは生誕150年みたい。なのに全然聞かないね、ロートレック展…。)

構成は以下の通り。たった35年の短い生涯だったモディリアーニなので、年代で区切った章立てを見るとそれぞれの期間の短さに改めて驚きます。出品点数は65点で、そのうちモディ作品はポーラの他に国内美術館と個人所蔵品の 油彩10点、彫刻1点、素描8点の計19点、とのこと。モディリアーニに加えて彼に影響を与えたであろう芸術家たちの作品も含めて、当時のパリを想像させる展示になっていました。

第1章: 1906-1909 パリ・モンマルトル、デルタ通り
第2章: 1909-1914 パリ・モンパルナス、シテ・ファルギエール
第3章: 1915-1918 パリ・モンパルナス、カフェ・ラ・ロトンド
第4章: 1918-1920 ニース〜パリ


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独特な画風を持つモディリアーニを、同時代の芸術家や気風から受けた影響という見地から見つめる、という展示でした。今回はポーラ美で初めて(少なくとも私は)企画展の出品リストが置いてあって、非常にありがたかったです。常設も置いてほしいなー。

第1章、この時代のパリにいた画家たちはみな多かれ少なかれセザンヌの影響を受けていますよね。ここでもそれが浮き彫りになっていました。あちこちの美術展での引用されっぷりでセザンヌの偉大さを改めて知る、という。とても気に入ったのは、青の時代のピカソを思わせる「青いブラウスの婦人像」(ひろしま美術館)とピカソ「海辺の母子像」が並んでいた事。美しく静謐な空間でした。私の大好きなヴァン・ドンゲン「灰色の服の女」ともここで再会。

その先のスペースにはパリのカフェを思わせるようなテーブルとチェアがあって、タブレットが置いてありました。このタブレットと近くの壁に設置されている大きなタッチパネルは、モディリアーニとその周囲の人々の人物相関図が展覧会の章立てにそって見られるようになっていました。場所柄ふだん美術に触れる機会のない観光客も本当に多く訪れる美術館なので、興味を持ってもらう為のこういう試みは本当によいと思うし続けてほしいです。もうね、ホントにぐるーっと立ち止まらずに歩いて行っちゃう人を見るともったいないなーって思うもんね。
常設の方でも面白い取り組みをしていて毎回楽しませてくれるのですよ。そちらについては後述。


第2章は彫刻家としてのモディリアーニ。彼が彫刻を手掛けていたとは全く知りませんでした。いや、あまり興味がなかっただけかも(笑)。モディリアーニが描くあの長いクビとさほど変わらない顔とをそのまま円柱形にしたような彫刻が出ていて笑いました(彫刻の森美術館所蔵)。ブランクーシ的って思ったら、まさにその通りらしくてブランクーシに出会った事で石彫に熱中していったのだとか。ふーん、ブランクーシもあまり興味なかったけど、ちょっと興味わいてきたかも。更にはこの時期プリミティヴィスムが盛り上がっていたそうで、キュビズムと共に モディリアーニもそれらの影響を受けた、と。愛知県美所蔵の「カリアティード」がここに。シャガール、ピカソ、フジタ(のキュビズム風の絵とか)が並ぶこの一角、楽しかったです。

結局モディリアーニは大理石が高価すぎた事と彫刻の体力的負担が大きすぎる事から、絵画へと戻っていくのですね。第3章はモディリアーニの一番多作だった時代だそうで、それが展示にも表れていたように思います。濃密だった。何ていうか、絵から発せられるオーラが凄いのです。中でも圧巻は大阪新美術館建設準備室蔵の「横たわる裸婦」。しかし評価は高まってきたものの生活は安定せず、彼の生活は退廃を極めていく…と。

第1次大戦の激化と健康への懸念からパリを離れてニースへ。第4章では明るい土地が影響したのか絵にも明るい色彩や薄い塗り方が見られます。ここで印象的だったのはスーティンの「青い服を着た子供の肖像」。スーティンの絵はそんなに数多く見た訳ではなくて、荒々しく絵の具を塗り込んだ変わった絵を描く人だという印象しかなかったのですが、この絵に描かれた両手を腰にあてて挑戦的にじっとこちらを見つめる子供には、どうしようもなく惹きこまれました。モディリアーニはスーティンの面倒をよくみてあげていたとの事。。

今まで私の中ではモディリアーニっていうと10年くらい前の映画「モディリアーニ 真実の愛」のアンディ・ガルシアが浮かんでいて(笑)、映画の中で妻のジャンヌ・エビュテルヌが彼の事を「モディ」って呼ぶので、私もつい「モディ」と略しちゃいます。それ以上の興味はそんなになかった人なのですが(失礼だな…)今回割とまとまった数の展示とその画業を知って、ちょっと印象が改まった感がありました。ポーラ美術館の特設サイト内にあるModigliani in Parisというコンテンツがとてもよく出来ていてお勧め。これ、ずっと消さないで残していてほしい。


その後は常設へ。常設は「ポーラ美術館の絵画 西洋絵画 日本の洋画 日本画」「美術をもっと楽しむ展示 じっくり」「ポーラ美術館ガラス工芸名作選」の三本立て。現在ポーラ美は名作選があちこちの美術館に巡回中なのですが、それでも全く問題なしの所蔵品の厚さ。何度も見ているルノワールの「髪かざり」の、少女達が着るドレスの描かれようにはっとしたり。

後述するといった「面白い試み」は「美術をもっと楽しむ展示 じっくり」でした。「なづける」と題されたコーナーに飾られた古賀春江の作品にはキャプションがなく、「さあ、この絵をじっくり観察してあなたがタイトルを付けて下さい」という趣向。作品の前にはタブレットがあって、そこにタイトルを入力すると、作品そばに展示されたディスプレイにそれが表示される仕組み。私たちが行った時に表示されていたタイトルはもう忘れてしまったけど、上手い!と思ったので、それを消すのは忍びなくて。「これ、どっかで履歴が見られたらいいのにね」って雀さんに言ったら、そこにあるよーって。その先にあるスペースで履歴がいくつか見られるようになっていました。ちなみに作品のタイトルは《白い貝殻》。

そしてもう1つ「はいりこむ」と題されたコーナーに、極上品のデルヴォーさんが!大きなサイズで絵の出来もお見事。半分これが楽しみで出かけたようなものなのですが、他の絵を見てるうちに忘れてしまって、目に入った時はテンションあがりました。うわー、凄い絵だ、と。こちらは見る位置によって見え方の変化を楽しみましょう、単眼鏡も使ってみましょう、という手引き。お言葉に甘えて(笑)じーっくりたーっぷり堪能。

ガラス工芸展示も、いつも以上のすばらしさ。「ドガ・ダリ・シャガールのバレエ」(だっけ?順番間違えてるかも)展で見て以来の、ダンサーをテーマにした香水瓶や入れ物と再会ににっこり。この人物表現の特集展示は凄く良かったです。


「モディリアーニを探して - アヴァンギャルドから古典主義へ」
2014.04.12-09.15 ポーラ美術館

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