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2014/08/19

「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」国立新美術館

さて、よーやくバレエファン的に絶対に外せない「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」です。国立新美術館はこの時期 1階でバレエ・リュス展、2階でオルセー展とめちゃくちゃ人口密度が高くなっております。チケット購入時の混雑緩和の為、リュス展は展示会場入口でのチケット販売になっておりますよ。

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構成は以下の通り。
イントロダクション
1. 1909-1913: ロシア・シーズン、歴史的エキゾティシズム
2. 1914-1921: モダニスムの受容
3. 1921-1929: 新たな本拠地モンテカルロ
4. 1929-: バレエ・リュス・ド・モンテカルロ


2009年のバレエ・リュス100周年以降、世界各地で開催されてきたバレエ・リュス展ですが、今回日本でよーやく開催の運びとなったのは、オーストラリア国立美術館が所有するバレエ・リュスのコスチュームをメインにした美術展。今となっては失われてしまった作品を含め、衣装とデザイン画や資料などがお披露目されています。

イントロダクションはオーストラリア制作の映像で、バレエ・リュスのざっとした紹介やコレクションについてのもの。あちらでバレエ・リュス展を開催した時に制作されたものでしょうね。引用されている映像の上演年代は不明ですが、オーストラリア・バレエが上演したバレエリュス作品ではないかしら(オーストラリア・バレエのクレジットというかロゴが入っていた)。

オーストラリアはバレエ・リュス・ド・モンテカルロのツアーが3回来ていて、所属ダンサーの中にはそのままオーストラリアにとどまり、現地でのバレエの礎を築いた人がいる……ということで、オーストラリアとバレエ・リュスは縁が深いのです(オーストラリア・バレエが上演している「くるみ割り人形 クララの物語」という作品は、そんなバレエ・リュス出身のダンサーの半生を描いたもの)。1973年にサザビーズで約400点のバレエ・リュス関連作品や資料を購入して以来、オーストラリア国立美術館の重要なコレクションとして蒐集が続いているとのこと。


展示室に一歩足を踏み入れると、大らかなレイアウトで展示される衣装たちがどっと視界に入ってくる形。演目毎にまとめられた島にマネキンに着せられた衣装が数点ずつと演目紹介のキャプションと資料があり、それらの周囲を回遊しながら先に進んでいきます。

思っていたよりは衣装を来たマネキンまで距離があったので単眼鏡を持っていけばよかったわーとちょっと反省。ちなみに衣装を着たマネキンは、ピッタリ衣装サイズ。ということは、当時のダンサーたちの体型がざっと分かるという事でもあり、その点でも大いに興味をそそられました。

キャプションには、作品と関わった芸術家(振付/衣装/装置/音楽など)、それぞれの衣装の素材、あらすじと解説。これ、1つの演目につき二カ所くらい設置してあると人が混み合わなくていいのに、と思いました。幸いと言いますか、比較的空いていたので(会期終了が近づくと混み合うでしょうし、空いているにしても時間帯は選んだ方がよいと思われますが)他のところを見ながらキャプション前が空くのを待てばいいのですが。

会場内にはナクソス提供だというバレエ・リュス関連のバレエ音楽が流れていて、目と耳から入ってくるバレエ情報にどっぷり浸る事ができます。今まで資料でしか見た事がなかった衣装や作品が、ぐっと立体的な知識になる喜びに満たされました。

それと会場内に小さなモニターが2カ所設置されていて、1993年のパリ・オペラ座バレエ公演を収録したDVD「ピカソとダンス」から「三角帽子」と「青列車」がそれぞれに流れています。モニタ前のベンチも数人しか座れないので、流れているものを確認しただけでスルーしてしまいました。持っているので、あとでゆっくり見直そうと思います。このDVDは一緒に収録されているピカソとバレエ・リュスのドキュメンタリーも秀逸なの。


初期のロシア・シーズンの衣装は、例えばバルビエが描いたイラストのニジンスキーやカルサヴィナが着ていたあの衣装が目の前に!という喜び。「カルナヴァル」!「ペトルーシュカ」!そして「青神」でニジンスキーが着用した衣装の襟元には、彼が肌に塗っていた青いドーラン(?)の跡が見てとれる。ニジンスキーの痕跡をそこに見られるなんて。。。胸が熱くなりました。

バクストのゴージャス、ゴンチャロワのロシアンフォークロア。ゴンチャロワは「サドコ」のイカやタツノオトシゴが可愛かったー。バクストの衣装デザイン画などは素材などの指示?は仏語で記載されていたように思うのですが、クチュリエはパリだったのかなぁ(どっかに書いてあった?図録はまだほとんど見てません…)。バクストのデザイン画が素敵過ぎて持って帰りたかったです。。。「春の祭典」や「結婚」「牝鹿」「青列車」といった作品の衣装がなかったのは残念だけれど、こればかりはオーストラリアのコレクションにないなら仕方ないか。

ディアギレフはバレエ・リュスで上演する作品の為に、音楽家に作曲を委託し、画家やデザイナーに美術や衣装を依頼。振付も革新的で踊るダンサーは帝政ロシアバレエ出身の超一流ダンサー、という「今までとは全く違う新しいもの」を次々に生み出していったのですよね。これらの色鮮やかで異国情緒あふれる衣装たちを見ると、パリの人たちが受けた衝撃の大きさも少しリアルに感じられてきます。その影響は現代社会でのバレエが置かれた位置づけなどとは比べものにならない程だったのですよねぇ。


ということで、音楽、美術、服飾、バレエなど様々な芸術に関わる人達がそれぞれの目線で楽しめる美術展だと思います。ただ、個人的にはもう少し、関わった芸術家の紹介が厚いといいなーとも思うのですけれど。ダンサーの紹介は難しいにしてもね。

とはいえ、この美術展のよいところは通常あまり触れられない「ディアギレフ後」のバレエ・リュスもしっかり追っている点だろうとも思います。バレエ・リュス解散後にバレエ・リュス・ド・モンテカルロがその衣装などを引き継いで作品上演を行い、その衣装をまとめてオーストラリア国立近代美術館が蒐集したという事だと思うのですが、それってつまり二重の意味で(バレエ・リュス・ド・モンテカルロこそがオーストラリアにバレエを根付かせた事と併せて)オーストラリアにとっては重要なカンパニーって事ですものね。


バレエの衣装って、素材的にも運用的にももの凄く痛みやすいものなのですが(バレエ衣装じゃなくても、100年前の衣類というだけで大変だけど)、飾られていた衣装たちはその年月の経過が信じられない程の状態よく復元されていて、修復のお仕事振りに興味を持たずにはいられませんでした。

残念ながら美術展の展示ではその修復作業についてはほとんど触れられていないのですが、それらは図録にたっぷりと記載されているとのこと。3,500円という図録にしては高価な代物でしたが、資料的価値も高いし図版も美しいし読み物も充実しているしで即決で買いました(笑)。しかも、もれなく桜沢エリカの新連載「バレエ・リュス パリが煌めく時」の第1回を収録した小冊子付き!これからじっくり読んでみまーす。

物販は、、うーんどうですかね、私はポストカードの種類がもっと多かったらいいのに!と思いましたけども。美術展オリジナルグッズ以外の関連グッズは割と充実してたと思います。その中でマックス・ウォルドマンの一連の写真をポストカードにしたものが並んでいて、つい我を忘れて買ってしまったわ。。。これ、大判ポストカードなので収納が難しいのですが(笑)。


魅惑のコスチューム: バレエ・リュス展
2014.06.18-09.01 国立新美術館

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