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2014/08/15

「パスキン - エコール・ド・パリ、愛と旅の詩人」展 岐阜県美術館

日帰り弾丸遠征で岐阜県美術館「パスキン - エコール・ド・パリ、愛と旅の詩人」展 を見てきました。ええ、この美術展は来年1月に汐留ミュージアムに巡回するのは重々承知しているのですけれどね。遠征に組み合わせる美術展がありさえすれば岐阜県美のコレクションを見る機会は逃したくないのです、私。

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パリ市立近代美術館やポンピドゥー・センター、ヨーロッパ各地の個人所蔵品、更に国内美術館所蔵品で構成されていました。エコール・ド・パリくらいの時代の画家だと、日本にもけっこうあるのですよね。日本では北海道立近代美術館にまとまったコレクションがあって、以前旅行中にちょうどパスキンの特集展示があったのを見たのですが、そちらからも多く展示されていました。


展示室に入ると、一番最初に、メインビジュアルに使われている「マリエッタの肖像」がお出迎え。岐阜県美所蔵のこの絵自体は前にも見ていますが、今回の展示の中でも抜群に美しいと思った次第。

ある程度時系列にそった展示の中で、最初の頃の色彩は全体にくすんだトーン。雀さんに以前見せてもらったコミック「美大受験戦記 アリエネ」(山田玲司)の中にあった「色を混ぜすぎると濁る」というのを思い出さずにはいられない(笑)。

私はパスキンの油画って実はそんなに好みではなくて、たくさん見たら印象変わるかなーと思っていたのですが、残念ながらそんな事もなく。描かれた女性たちがみな幸せそうに見えないというのも大きいのかも。パスキンがモデルたちに暖かい愛情を注いでいたという事なのですが、あまりそう見えなくて。

そんな中で気に入ったのは、前述の「マリエッタの肖像」と、パリ私立近代美術館所蔵の「少女 - 幼い踊り子」、北海道近代美術館所蔵「腰掛ける女」、ヤマザキマザック美術館所蔵「椅子に座る女」、、とかかな。独特の彩色と木炭の輪郭とがパスキンの油画の特色なのだけど、そのどちらもが微妙に私の好みから外れるのだな、と認識。

むしろ素描とか水彩、版画の方が好き。シニカルだし女性も男性も滑稽に描かれがちだけど、描かれた人たちは生命力にあふれているから。私がパスキンを面白いと思ったきっかけは北海道で見た「サンドリヨン(シンデレラ)」の挿絵だったのだけれど、そこに描かれたシンデレラはズドーン、ドスーンって感じのたくましさと愛嬌があったの。今回展示されていた中では「サロメ」などが「サンドリヨン」に通じるものがあって気に入りました。

油画で描く女性たちと、水彩や素描で描く女性たち、どうしてこんなに違うのかしらねぇ。後者の作品が集中していた展示後半のほうが、私にはすごく面白かったです。油画以外は個人蔵のものが多かったので、今回見られてよかったな、とも。

あと、パスキンのカタログ・レゾネ全4冊が、用意された手袋を装着すればページをめくって見られるようになっていたのもよかったのでは。すごいボリュームで全部をじっくり見る訳にはいかなかったけど。史料関係は充実していました。「シンデレラ」全編の挿絵がまた見られたら、もっと幸せだったなー。


私がここを訪れたい大きな理由の所蔵品展示も素晴らしかったです。
まずは明治洋画。私はこのあたりって普段興味がなくてスルーしちゃうので全く無知なのですが、山本芳翠が凄かったわ…。岐阜県美所蔵の山本芳翠「裸婦」が国の重要文化財に指定された事を受けての、この絵を含む山本芳翠作品と周辺画家の展示だったようなのですが、いやびっくりしました。フランス留学中ジェロームに師事したそうですね、納得の筆力。「若い娘の肖像」がとても気に入りました。

エコール・ド・パリの特集展示では藤田の5点がやはり好き。岐阜美にも「子供の連作から」があるのですね。ここでは初めて見たと思うわ。そして圧巻のルドン・コレクション。これらのほとんどは何回も見ているものだけれど、ここで室内1人きりで堪能できる贅沢はたまりません。みんななんで常設はあまり見ないのかなぁ、もったいない。

ルオーの「ミセレーレ」の特別公開もあったのですが、全部が見られた訳ではなかったのは残念。でもまぁ収蔵品なので、いずれまた機会もあるでしょう。「納涼の美」と題したテーマ展示も面白く。それこそ器やお着物から日本画などなど、暑い夏を涼しくする為に制作されたものたちがズラリ。予想以上に楽しめました。

岐阜県美はバスの時間を気にしながら見るところがあって、最後の方はいつもちょっと駆け足になってしまうのですが、今回は割とじっくり堪能できてよかったです。この次は熊谷守一展なんですってよ、奥様。


パスキン展
2014.07.18-08.24 岐阜県美術館
2014.09.05-10.19 北海道立釧路芸術館
2014.10.30-2015.01.12 熊本県立美術館
2015.01.17-03.29 パナソニック汐留ミュージアム

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