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2014/08/10

「デュフィ展」Bunkamuraザ・ミュージアム

鑑賞からは1ヶ月以上経過してしまったのですが、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた「デュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディー」を見てきました(現在あべのハルカス美術館に巡回中)。過去にも回顧展はあったそうですが、私はこれだけまとまった数のデュフィを一度に見るのは初めて。

海外の美術館や個人所蔵品が多く、知らなかったデュフィの一面(か二面か三面くらい)を見られたのが一番の収穫。国内から出展の一部は以前に見た事があったのですが、こういう回顧展の文脈で見ると印象も変わってくるな、と。おもしろかったです。


dufy.jpg


構成は以下の通り。
第1章 1900-1910年代 造形的革新のただなかで
第2章 木版画とテキスタイル・デザイン
第3章 1920-1930年代 様式の確立から装飾壁画の制作へ
第4章 1940-1950年代 評価の確立と画業の集大成


年代を追っての展示で、デュフィの絵が誰に影響を受けどんな風に変わって自らのスタイルを確立していったのか -- というのが手に取るように分かりました。少し考えてみれば当然のことなのですが、デュフィが最初から「あの」デュフィたりえたハズはなく、独自のスタイルを獲得するまで素直かつ貪欲に受けた影響を自分の絵画に消化or昇華していった軌跡は興味深いものでした。

私のこれまでの少ない鑑賞経験からのデュフィの印象は、音楽と競馬と海を描いた美しい色彩の画家。独特の輪郭を美しい色のフィルターで彩った絵画で、私はその色彩のフィルターの方を喜んで見ていたと思うのですよね。

それが、今回の回顧展は輪郭というか線描の方に意識が向くように構成されていたと思うのです。様々なスタイルを試していた時期には輪郭を描かなかった時期もある、という事も見られるようになっていたし。デュフィを作っているのは色だけでなくこの線ですよ、と言われた感じ。


振り返ってみれば油画以外はほとんど見た事もなかった気がします。ですから、今回の展示で見た、素描、版画、テキスタイルデザインなどのお仕事には非常に新鮮な驚きがありました。生活の為に手掛ける事になった版画やテキスタイルデザインがその後の「独自路線」に大きく影響したようで、ならば、その「独自路線」が好きな私が版画やテキスタイルを気に入るのも当然かも。

アポリネール「動物詩集あるいはオルフェウスとそのお供達」の挿絵として制作された版画は前後期に分けて16点ずつの展示。素描を見ると雑然とした線入れの多い人という印象を受けるのに、版画となると交通整理されて装飾性も高く、味わい深いものとなるのが面白い。線の強弱や白と黒のバランスなど、洗練を感じます。誰の絵か知らずに見たならばデュフィだと当てる自信は今も全くありませんが(笑)、非常に気に入りました。

そしてテキスタイル。版画を応用した?ものからイマジネーション豊かに様々なモチーフがデザインされものまで、その自在さに感嘆します。ほとんどは織りではなくプリントなのだけど、プリントだからこその色重ねとか、もうね、たまらないですわ。そのテキスタイルを使ってのドレスのデザイン画なども多く展示されていて凄く楽しかったし、これらのデザイン画のシンプルな線もまた後の画業に大きく影響していくのが見てとれて、何だか気分が乗ってきました。

これらファッション関係のものは島根県立石見美術館の所蔵。パリだけでなく日本のあちこちの美術館の所蔵品が集結していて、日本にデュフィは結構いっぱいあるのねーと感心も。


この次の章から徐々にお馴染みのデュフィ絵が登場してくるのですが、1920-30年代のデュフィの線は迷いのないストロークでとても好き。ささっと描かれたような水彩も味があって好みです。まだあまり綺麗な色は登場してこないけれど好きだと思えるのは、たぶんこの線が理由。

そんな中で(今回の展示全ての中から)一番印象に残ったのは「クロード・ロランに捧ぐ」でした。個人蔵ゆえにネットには画像があまりないのですが、ご興味の方は以下のURLでご覧になれます。
http://www.mutualart.com/Artwork/HOMMAGE-A-CLAUDE-LORRAIN/6AB3975377462E33

クロード・ロランと言われても「そ、そう?」と思ってしまう絵なのですが、図録の解説によれば、ロランの光の描写に捉えられたのだろう、と。実際ロランうんぬんは私にはどうでもよくて、光を受けた舟や建物の明るさと海の暗さとのコントラストにたまらなく惹きつけられてしまったのでした。個人蔵かぁ……またどこかで見られる日が来るでしょうか、来るといいなぁ。


石油会社の創業者ケスラーに依頼されて描いた巨大な壁画「馬に乗ったケスラー一家」は両辺2m超えの超大作。本展のメインビジュアルの1つでもあります(上のチラシの絵)。邸宅の階段踊り場の壁に飾られたというこの装飾壁画は、やはりちょっと離れて見るのが美しい。

もう1つのハイライトは「電気の精」の縮小リトグラフ。オリジナルは1937年のパリ万博 光と電気館の為に制作された超巨大壁画で現在はパリ私立近代美術館に飾られています。描かれているのは、古代から現代に至るまでの技術の発展(上部)とそれに寄与した100人の学者たち。寄りでそれぞれの学者や描かれたトピックを確認して、更にはちょっと離れて全体を見て、、とやりたくなります。ただ、珍しいものを見た感はあるものの、絵の好ましさとしてはポーラ美所蔵の「パリ」の方が上だと思ってみたりも。パリモチーフ最強。

室内装飾、という括りでタピスリーや陶芸、椅子なども。絵画だけにとどまらない創作活動はシャガールにも通じますね。時代的なものもあるのでしょうが。


1930年代の終わりあたりから、その絵に変化が見えてきます。私の好きな素早くシンプルなストロークの筆遣いが姿を消していくのです。「もしや?」と思ったら、やはり健康上の理由が影を落としていたのでした。進行性多発関節炎。でも、初期の頃は治療が功奏してあまり影響は見えないとも言えるのですが…。

例えば私がデュフィを好ましいを思うきっかけとなった大谷コレクションの多くはこの時代の絵な訳で、たぶん失ったものの代わりに洗練や様式美を身につけて描いていたのかな、とも。筆使いの変化を見るとちょっと心が痛くなるのだけど、どれも「デュフィらしい」絵としか言いようがない好もしさでした。更には、この時期の素描の洗練されっぷりったら。光と影への気の配りように、そうか初期の素描が何となくしっくり来なかったのはそれ故かな、などと思ったり。


でね、回顧展とか見るとよく思うのですが、「やっぱり健康大事!」とも(笑)。特に画家って、ものすごく体力要りますよね。大きなカンヴァスに向かって腕を上げ続けるだけでも大変な事だけど、それをある程度のストロークで続けないと作品が完成しないのだから。晩年切り絵に移行したマティスを始め、病気などで描けなくなっていった人たちの事を思ってしまうのでした。次の回顧展からはデュフィの事も一緒に思ってしまうのだろうな。。。

「色の洪水に浸ってこよう!」という見る前の希望はあまり達成されたとは言えないのですが、得たものは多かったです。図録もザ・ミュージアムらしく期待を裏切らない充実。図録中に引用されているデュフィのテキスタイルデザインも可愛らしくてたまりません。でもグッズは微妙だったかなぁ。私が気に入った絵やデザインはほとんど絵ハガキなどに採用されていなくてガッカリ…。散財せずに済んだと思うしかありませんね(笑)。

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