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2014/05/15

「ジャック・カロ リアリズムと奇想の劇場」「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」国立西洋美術館

国立西洋美術館の「ジャック・カロ リアリズムと奇想の劇場」と「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」を見てきました。3軒目のハシゴ、ヘロヘロです(笑)。遠征中は3館くらいまわらないと効率悪いのでがんばるのですが、東京でする必要はあまりないよね。でもやってしまいました。付き合わせた人には申し訳ない。

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ちょうど連休頭の週末、NHKの「日曜美術館」アートシーンで「非日常の呼び声」が取り上げられていたそうで、そのせいか、平日閉館前の西洋美術館なのに割と人が多かったです。特に、非日常展。もっと貸し切り状態で見られると思ったのに〜。


ジャック・カロ展の構成
1. ローマ、そしてフィレンツェへ
2. メディチ家の版画家
3. アウトサイダーたち
4. ロレーヌの宮廷
5. 宗教
6. 戦争
7. 風景


1人の芸術家の版画をまとまった形で見た中で、今まで一番古い?人はゴヤだったかなーと思うのですが、それより150年くらい前に生まれた17世紀の版画家ですよね、ジャック・カロ。エッチングの技法を劇的に変えた人だそうですね。40数年という短い生涯で1400点以上の版画を残したそうで、そりゃあ早死にしますよ!と言ってあげたくなるような、細かい細かい版画の数々でした。

あまりに細かいので、展示室入り口に「ご自由にお使い下さい」とルーペが置いてあるの。あと大日本印刷が開発した「みどころルーペ」という展示装置もあって、タッチパネル式で版画の部分を拡大して見たりも。

西洋美術館には約400点カロの版画を所蔵しているそうで、今回出ていたのは約220点。宮廷附き版画家として描いた祝祭もの、コメディア・デラルテや乞食、ジプシーの連作、宗教作品などその表現は多岐にわたっていて、つい1枚1枚じっくり見てしまいます。

中でも代表作と思われる「戦争の惨禍」連作の迫力。前に見たゴヤの版画にもやはり「戦争の惨禍」という連作があったのですが、それゆえにゴヤの版画を思い出したというのもありそうです。

細かい版画ですので、混雑するとけっこうキツそう。興味のある方はお早めに。現在、西洋美術館の版画素描室は閉室中なので、こちらで版画充できてよかったです。むしろ過充電かも?くらいの勢い。


企画室の後半は、「非日常からの呼び声」。構成は
第1章 幻視
第2章 妄想
第3章 死
第4章 エロティシズム
第5章 彼方への眼差し
第6章 非日常の宿り


カロ展より狭いスペースにみっちりと、平野セレクトによる西洋美術館の所蔵品が並んでおりました。こういう、外部のキュレーションって凄くよい試みだし面白かったです。特に平野さんは美術お好きで造詣も深いし、小説家だけにキャプションがとても読み応えがあり、絵の前とキャプションの前とで滞留時間が凄く長くなるのです。そして選ばれた絵が好み過ぎる。

もうね、マックス・クリンガー「手袋」の1枚から始まるところからシビれます。クロード・ロランが描く神話の世界、そしてモローの水彩画「聖なる象(ペリ)」の3枚が並ぶって、年代別展示になってる常設ではあり得ませんからね。しかもこのモローの水彩はあまり常設に並ばないし、ここぞとばかりに何度も何度も戻って見てしまいました。もうホントに大好きなの、この絵。

ムンクとしては珍しいタッチの「雪の中の労働者たち」もここに。ムンクはもう1枚、「接吻」のエッチングも最後の方にありました。

同じテーマで描かれた(「聖アントニウスの誘惑」や「サロメ」)を並べる手法も大歓迎だったし、普段あるところと違う場所、違う絵と並んで見ることで受ける印象の違いも堪能できます。最後の壁にいるハンマースホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」がまた、しみじみよいのですよねぇ。慣れ親しんだ作品でキュレーションの妙味を堪能できる、素晴らしい機会でした。


閉館時間をにらみながら常設も駆け足で見てきました。つか、お目当ては第7室以降なので、そこまではかなりスルー気味で。

ところが、今まで見た事なかったのか良さに気付かなかったのか、スロープ上がってすぐのところにある「玉座の聖母子」(アドリアーン・イーゼンブラントに帰属)に目が釘付けに。ええっ、これ素敵。スルーするつもりだったこの部屋で出会ってしまい、三度見くらい見に戻りました(笑)。

モネ展の時はどの絵の前も混雑してたに違いないのですが、常設に戻ればモネ部屋もほとんど人がいない状態。西洋美術館で(閉室中の)版画素描室に続いて大好きな第11室。ミレイ「あひるの子」、モロー「ピエタ」、ファンタン=ラトゥール「聖アントニウスの誘惑」、セガンティーニ、、、と並ぶ一角は至福以外の何者でもありません。はー、幸せすぎる。

ドニが子供を描いた作品はここにもいくつかあって、「字を書く少年」なんかは正に「こども展」とダイレクトに繋がる作品ですよね。第12室の、アンドレ・ドランが描いた「ジャン・ルノワール夫人(カトリーヌ・ヘスリング)」だって「こども展」の続編みたいなものだし。


ということで、かなり駆け足でした。あまりに慌てすぎて、ショップで「非日常」展の図録買おうと思っていたのに忘れてしまったわ!通販もあるのですが、現金書留面倒なんですよねー。なので、もう1度じっくり鑑賞がてら図録ゲットしにいくつもりです。


カロ展と非日常展はいずれも6月15日まで、当日券一般600円ですからぜひぜひお運び下さい。

ジャック・カロ―リアリズムと奇想の劇場
2014年4月8日(火)〜6月15日(日)
非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品
2014年4月8日(火)〜6月15日(日)
国立西洋美術館

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