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2014/05/14

「バルテュス展」東京都美術館

こども展の感想で気力を使い切ったので簡単に行きます(笑)。
こども展のあと、上野に移動して東京都美術館で開催中の「バルテュス展」を見てきました。国内での個展は約20年ぶり、没後初の大回顧展だそう。

2014_balthus.jpg


今年予定されている美術展の中でもとても大きく注目されていて、あちこちで大きな期待を寄せる声を聞いてきました。私自身はバルテュスほとんど知らなくて、雑誌などで紹介されていた節子さんの暮らしぶりの方が先に浮かぶ位。なので「うーん、見なくてもいいかな、でも回顧展は見ると発見があるし、、、」という感じで直前まで行くかどうか決めきれずにいたのですが、オットが「これ見たい」というので、ならば乗った!と。


構成は以下の通り。
第1章 初期
第2章 バルテュスの神秘
第3章 シャシー - 田舎の日々
第4章 ローマとロシニエール
素描


予想以上に面白かったです。チラシに使われている「夢見るテレーズ」や「美しい日々」を始めとする、妖しい魅力を発する少女たちの絵満載かと思っていたのですが、そんなことはなかった(笑)。初期からそれこそ最晩年の未完の作品まで(会場内に再現されたアトリエに未完の作品が掛かっていたそう!映像に見入っていて気付かず、見られなかったよ〜)並んでいて見応えありました。

まず絵の質感。これは実際に自分の目で見ないと分からなかったな、ちゃんと見に来てよかったです。晩年の作品などは少し前に見たピュヴィス・ド・シャヴァンヌのひんやりとした質感を思い出すものも。それと、素描の描かれ方、ペンや鉛筆の運びも独特で面白い。私にとってはその辺りの印象がバルテュスと結びついた美術展でした。


美術展は、バルテュスが11歳の頃に描いた愛猫ミツとの物語から始まります。ここ、ものすごく混んでいたのだけど、できれば1人で静かに見られたらと願っておりました。ミツのモチーフはグッズにもいろいろなっていてそそられました。連作から抜粋したポストカードセットが魅力的だったけど、この後に展示されていた「嵐が丘」連作が非常に気に入ったので、そちらのポストカードセットを買ってしまいました。

「嵐が丘」。14枚からなる挿絵連作には、あの物語に絶えず感じられるキャシーの鋭い感情が、目に見える形にされていました。ヒースクリフはバルテュス本人のようで、愛と緊迫感ある関係性がヒリヒリと。これは手元に置きたいなぁ、、そう願ってしまうものでした。グッズコーナーにあった「嵐が丘」のポストカードセットは6枚組で、あと8枚カモン、、と。

「嵐が丘」は突き止められなかったけど、「ミツ」の方は2011年に復刊しているようです。

ミツ バルテュスによる四十枚の絵
ミツ バルテュスによる四十枚の絵


もう1枚手元に置いておきたいと思ったのは、「ジャクリーヌ・マティスの肖像」。アンリ・マティスのお孫さんですね。グレー濃淡の壁に、グレーに白のアクセントの入ったワンピースを着た女性が横向きに立っています。肩に掛けたバッグと赤みがかった豊かな髪、そして肌。彼女にあたる光の具合がよいのです。おそらくはこの部屋に、直接光が入らなくなってきた時間帯。

アンリの息子、ジャクリーヌの父であるピエール・マティスの肖像画もありました。うふふ、さっき見た「こども展」にアンリ・マティスが描いた息子ピエールの肖像画があったので、ちょっと笑ってしまったわ。足下にちらりとのぞく赤い靴下。

「こども展」とは食い合わせが悪いかと心配していましたが、上述の通りむしろリンクするところもあって続けて見たのはよい刺激になりました。時代的にも「こども展」の後半と重なりますしね。猫と少女を描いた人といえばバルテュスだけでなくフジタもそうだったけど、ありようは全く違うなぁ、とかね。


バルテュスご本人の事はほとんど知らず(むしろ節子さんから入ったクチ)、会場内で流れていた晩年のインタビューを拝見するに、なかなか気むずかしい人という印象を受けました。彼の作品に登場する自分自身も、なんだか自己愛が強そうだし。。。

だけれど、最後の部屋に並んでいた遺品の数々や資料と、篠山紀信撮影の写真を見たら、そんなことはどうでもよくなってしまいました。和装のよく似合うバルテュス。礼装でしょうか?赤が印象的な衣装も見事に着こなす粋な人。色鮮やかに切り取られた愛用の品々の写真にも美意識と道具を大切にするお人柄が見られて。。。バルテュス展を見に来てこんなことを言うとしかられそうですが、この最後の篠山紀信の写真は締めくくりに相応しい素晴らしさ。とてもよかったです。


pen onlineのバルテュス展レポートの写真がとても素敵で、作品を含む展示風景が見られます。これの2ページ目の2枚目の写真左側がジャクリーヌ・マティスの肖像。4ページ目最後の写真が篠山紀信の写真群。

6月22日まで東京都美術館で。その後7月5日から9月7日まで京都市美術館に巡回。京都市美のクラシックな空間で見るバルテュスも素敵そうです。


バルテュス展
2014/04/19-06/22 東京都美術館
09:30〜17:30(金曜は20:00) 月曜休館

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