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2013/06/07

愛知県美術館「プーシキン美術館展」

2011年に予定されていたものの、東日本大震災の影響で一旦取りやめになってしまった「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」がようやく日本にきてくれました。名古屋のあと横浜に巡回するのですが、大好きな愛知県美術館で見てきちゃいました。横美も好きな美術館なのですが、どうしても首都圏の方が混雑が激しいのでね…。横浜でも見るかもですが、まずは名古屋でジャンヌ・サマリー嬢にご挨拶。

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構成は以下の通り。
第1章: 17-18世紀 - 古典主義、ロココ
第2章: 19世紀前半 - 新古典主義、ロマン主義、自然主義
第3章: 19世紀後半 - 印象主義、ポスト印象主義
第4章: 20世紀 - フォーヴィズム、キュビズム、エコール・ド・パリ


プーシキン美術館が所有するフランス絵画を年代別に並べた展示でした。ひとしきり見て歩くと美術史が分かる、、、かもですが、フランス絵画の代表的な人の作品を集めましたという方が近いかな。ドラマティックな絵が多いので、入り込みやすいと思います。美術館の歴史とコレクションをなした蒐集家にも言及あり。

愛知県美の展示は毎回趣向を凝らした素晴らしいものなのですが、今回も部屋毎の壁紙の違いが絵を引き立てていてお見事。オーディオガイドは水谷豊が担当しているそうでけっこう評判もよいみたいなのですが、私は見送ってしまいました。


最初の古典主義/ロココはヤマザキマザックの展示と親和性が高いので、併せてみるとよいと思いました。ヤマザキマザックにアングルの「ルイ14世の食卓のモリエール」があるのだけど、こちらにはシャルル・ル・ブランの「モリエールの肖像」が。他にも画家の重なりが多いので、いろいろ楽しいと思うの。

個人的には神話絵宗教画がたっぷりあるので大満足。私の大好きなブーシェの天使ちゃんたちには「ユピテルとカリスト」にてご対面。月の女神ディアナに扮したユピテルがディアナの従者カリストにいいよっているところの絵(笑)。ディアナ(の姿をしたユピテル)に肩を抱かれ顎を持ち上げられたカリストのうっとりと上気した顔ったら。


第2章ではなんといってもアングル「聖杯の前の聖母」が際だっておりましたが、ジャン=レオン・ジェローム「カンダウレス王」も目をひきます。ジェロームはやっぱりよいわー。バルビゾン派からは美しい女性画のディアズ・ド・ラ・ペーニャがこちらにも。「クピドとプシュケ」、美しい女性を描く人の神話絵はたまらないわ〜。ツボに入りまくりました。

コローも来てたけど(「突風」)私の好きな牧歌的なものではなくてドラマティックなもの。もちろん見事ではありましたが、こう、空気が光りにキラキラ輝くようなのどかな風景が好きなので、ちょっと好みからは外れていたかな。


そして第3章は一番親しみのある時代でもありますし、好きな絵がたくさんありました。ルノワール「ジャンヌ・サマリーの肖像」は実際に見てみると赤みと同じくらい青みが目につきますね。衣装がブルーなのもそうだけど、肌に入れた青と背景にも入った青が。ルノワールの肖像画として最高傑作と言われるのも納得。

モネ「陽だまりのライラック」も実物を見るのを熱望していた作品で、しばらくはその前から動けず。強い日差しを受けて咲くライラックとその木陰で休む女性たち。手前の草原はまぶしい日差しを受けて輝く場所とライラックの木の陰になった深い緑のところと。モネの筆致は光の表現に向けられているのでこの絵からはライラックの香りはしてこないけど、まぶしい日差しに目を細めたくなるよう。

そして、ゴッホが自らの神経症の治療をしてくれた医師レーに描いた「医師レーの肖像」。ゴッホはありったけの感謝の気持ちを込めて、明るい表情の、前途洋々たる若い医師を描いたのだけれど、残念ながらこの絵を送られたレーさんはあまり気に入らなかったとか…。

ふふ。これに似たエピソードがルソーにもありますよね。そのルソーが当時恋人同士だった詩人アポリネールとマリー・ローランサンという親しい友人たちを描いた「詩人に霊感を与えるミューズ」も来ています。これもアポリネールに贈られたのだけど、のちに恋人たちが別れてしまったこともあって、あまり歓迎されなかったとか。だってルソーさん、マリー・ローランサンというにはあまりにも貫禄が(笑)。

でも、この絵も生で見るのをずっと心待ちにしていたのです。そういえば前日に見た静美フジタ展でフジタがピカソのアトリエで見て大きな影響を受けたのが正にこの絵(の別バージョン。バーゼル美術館所蔵)だったとか。リンクしますなぁ。

ルソーさんの絵は第4章なのですが、第3章にはドガとフォラン、ゴーギャンとヴュイヤールとドニという興味深い対比も。ドガとフォランは同じモチーフの絵だったらよかったのにねぇ。ドガは「バレエの稽古」という有名な絵、フォランは競馬場モチーフでした。

ドニさんの「緑の浜辺、ペロス=ギレック」はゴーギャンを思わせる強い色味とポーズ。モローの生徒だったというシャルル・ゲランという人の絵はちょっとドニさん的な雰囲気をまといつつ、前時代のお衣装に身を包んだ女性たち。ちょっと好きかもしれないので、あとでいろいろ探してみようとメモをとったのでした。


第4章は先ほどのルソーさんの他に、マティスやピカソのスタイルの違うのが数点。キスリング、ヴァン・ドンゲン、ローランサン…とまたフジタの幻影を追い払いながら(笑)の鑑賞でしたが、ちょっとイメージとは違う絵が並んでいて興味深かったです。

私はあまりこれらの絵は誰が収集したか、などはあまり気にしないで見たのですが、最後に流れていたプーシキン美術館の歴史を紹介するVTRを見て、あーもう少し意識すればよかったな、と。もう1度見る事ができたら、その辺りを頭に入れて鑑賞したいと思います。

図録とポストカードを買ったのですが、欲しかったモネ「陽だまりのライラック」が売切で買えなかったのですよねー。なので、リベンジしに横浜、はありだと思うの。物販目当てで行くなら会期早いうちが確実ですね。


なお、今回も常設が充実しておりました。前室の田渕俊夫「青木ヶ原」い吸い込まれそうに…。今回嬉しかったのは、愛知県美の重要なコレクションを寄贈した木村定三氏の事を紹介する小冊子が用意されていたこと。実はまだ読んでいないのですが(汗)、でもこれで私にも少し身近に思えるかな、と。

あとはAPMoA Project, ARCH Vol.6、藤永覚耶さんの「空即是色 vanity is color」がとても面白かった。展示室に入った途端、目眩に似た感覚。近づいていくと、ただ色が存在しているようで、離れながら見ると、それは木々だったり。映像インスタレーションなどだと自分のペースで楽しめないのが好きじゃないのだけど、今回のAPMoA Project, ARCHはその意味でも私には楽しかったです。前室にも作品があって、1つ大きな作品は窓越しの光によって作品の印象が変わる作品。私は雨の日の夕方だったので全く外の光による変化は見られなかったのですが、何度も通う人は楽しく見られそうですね。


プーシキン美術館展
2013/04/26-2013/06/23 愛知県美術館
2013/07/06-2013/09/16 横浜美術館
2013/09/28-2013/12/08 神戸市博物館

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