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2013/06/06

名古屋市美術館「上村松園」展

遅いお昼を食べて少し部屋で休憩してから、名古屋市美の「上村松園展」へ。名古屋市美は初訪問でした。6/2で会期終了ということで、午後3時過ぎでしたが白川公園を歩く人はずんずん黒川紀章建築のこの美術館へと流れていくので恐れをなしつつの訪問。それでも当日券売り場に行列はなかったし(人は絶えずいる)、館内もさすがに人は多いけれど選んで見てあるけばじっくり独り占めできる絵もある、、って感じでした。

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構成は以下の通り。
1. 歴史に学ぶ
2. 風俗を描く
3. 女心を描く I
(1) 伝統の唐美人と王朝美人
(2) 物語に託して(激しい心)
4. 女心を描く II
(1) 四季の中で
(2) 古典によせて
(3) 母の追憶
(4) 少女の頃
5. 穏やかな日々
特別出品


駆け足で!って思っていたのですが(メインのプーシキンが控えていたので体力温存で…)うっかり熱心になってしまう程に見応えのある展示でした。東京国立近代美術館から重文「母子」他、各地の美術館からも作品が集まっている一方で個人蔵の作品も多く。日本画には今のところそんなに興味のない私なので、これだけまとまった数の松園を見るのは初めてでした。

自分の洋画の好みから言って「花がたみ」のような物語絵、楊貴妃などの知られた美人の絵(要はそこから物語が読み取れる絵)に惹かれるだろうと予測していたのですが、実際にはそれよりも更に四季が反映された絵たちに惹かれてやまなかったのでした。想像せずとも自分の身に織り込まれている日本の四季が問答無用に作用するし、そこからも十分に物語が伝わってくるからでしょうか。

もちろん「母子」や「人生の花」「鼓の音」といった代表作は素晴らしいです。一番愛してしまったのが「待月」の女性の後ろ姿。透けた夏の着物と袖口から見える赤が素敵だし、なにより余白の美といいますか。松園さんの余白は本当に素敵だった。

それと共通する美意識だと思うのですが、雪の絵にはどうしようもなく惹かれてしまい。個人蔵のものなどは似たモチーフも多いのですが、傘が画面を区切るのがアクセントになるから余計に惹かれてしまうのか…見ればみるほど魅了されてしまうのでした。

もう少し着物や髪型、お化粧の描かれ方もじっくり見てみたかったですね。そして、これを書いていてはたと気付いたのですが、松園さんの展示もある意味前日のボストン美「アートに生きた女たち」にリンクしていたと…。


常設では関連展示として「松園の下絵と素描」。これが凄かった。ぶっとびました。ここまで緻密なトライアンドエラーが見てとれる素描は見た事がありませんでした。これを見てからまた企画展を見たら、更に違って見えたでしょう…。完成された絵画では巧妙に隠されている松園さんの「業」や「情」が下絵では凄みとして表れていました。今回の遠征で一番打ちのめされたのが、この一室だったように思います。

最後に名古屋市美のコレクションを。常設が半分以上の目当てでもあったので、こちらも堪能しました。入室するとまず目の前に彌生ちゃんの「ピンク・ボート」がドーン。「宇宙へ行く時のハンドバッグ」なども。現代美術のあれやこれやを眺めてから、エコール・ド・パリの部屋へ。前日のフジタ絵の残像を振り切りつつ見ていたのですが、マリー・ローランサンのちょっと違った画風の絵「横たわる裸婦」が印象的でした。彼女の名前から思い浮かぶ優美なあのイメージとは違う、ピカソやルソー的というか…ちょうど作風が変わっていった時期のもの(1908年)なのだそうです。

そしてメキシコのシュルレアリスム。シュルレアリスムの絵ってひんやりした不条理さを感じていたけど、メキシコのは熱っぽさが感じられて面白かったです。そして日本の風景画。こちらは玉堂「秋嶺白雲」が好ましく。

ともあれようやく訪問できましたですよ。次はもう少し空いている時に、と思っております。お隣の名古屋市科学館も楽しそうなのだけど、こちらは雀さんと一緒の時がいいかなぁ。


名古屋市美術館「上村松園展
2013/04/20-2013/06/02(会期終了)

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