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2013/02/07

「エル・グレコ展」東京都美術館

■「エル・グレコ展
2013/01/19-2013/04/07 東京都美術館

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閉館まで1時間を切った慌ただしさになってしまいましたが、鑑賞してきました。遅すぎて音声ガイドの貸し出しも終わっていたという(笑)。うーん、さすがにちょっとせわしなかったか…と思うものの、割と独り占め状態で見られたのはよかったです。人気展は訪問のタイミングに悩むよね。

流石に本展のハイライトである「無現在のお宿り」の前は人が多かったですけど、それでも10人もいなかった。3.47メートルもある大きな絵ですから、大勢でもストレスなく見られるのはよいですよね。お勧めの「しゃがんで下から見上げる」のは順番待ちっぽくなってましたけど。

構成は以下の通り。
1-1. 肖像画家エル・グレコ
1-2. 肖像画としての聖人像
1-3. 見えるものと見えないもの
2. クレタからイタリア、そしてスペインへ
3. トレドでの宗教画:説話と祈り
4. 近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として


エル・グレコの絵って、縮小された印刷物だとコミック的な印象を受けませんか?私がそうだったのですけど…。

今回の回顧展はエル・グレコの画家としての業績はもちろんの事、採光なども考えた建物全体をプロデュースした仕事ぶりにも焦点を当てています。祭壇画とは、全てはそこを訪れる人たちにいかに分かりやすく効果的に聖書の物語を伝えるか、信仰の大切さを伝えるか、という為のものなのですよね…と当たり前の事ではありますが改めて納得できたのが大きかったです。

跪いて見上げた時にもっとも効果的に見えるよう描かれていて、黒い輪郭線もくっきり目立つのでドラマティックな印象も強調されています。それが時に現代のコミックにおけるデフォルメに通じて見えたのかな、と何となく分かったような気になったのでした。うーん、例えば天井画なども同じように見る位置から一番効果的であるよう描かれているものだけれど、エル・グレコの描き方は面白いですね。現物を見たあとでショップの絵はがきを手にとった時に「現物にはかなわないよね」と思うのは日常茶飯事だけれど、エル・グレコの祭壇画ほど印象の差が激しい画家もそう多くないのでは。


最初の部屋の肖像画はとても写実的。エル・グレコというと大原美術館所蔵の「受胎告知」に代表される画風しか知らなかったので、こんなに上手いのか!と失礼ながら驚きましたです…。中でも「白貂の毛皮をまとう貴婦人」の素晴らしい事。暗い背景に貴婦人のまとった白貂の毛皮のほわほわの描写、髪に巻き付けたスカーフのひんやりした肌触り、そして女性の白い肌、赤く色づく頬と唇、黒く輝く目…それはそれは惹きつけられました。隣の「燃え木で蝋燭を灯す少年」とあわせて、この空間は素敵でした。

「見えるものと見えないもの」のセクションにあった「改悛するマグダラのマリア」も印象に残る絵。エル・グレコの描く女性はどれも現代に通じるかわいらしさがあって、そんなところも「コミック的」に感じる理由だったのかもしれません。

最後のセクションの、画家であり建築家としての空間プロデュースの様子には目から鱗がぽろぽろ。写真などで実際の様子をうかがうだけでも興味深いけれど、エル・グレコの意図した通りに見る事ができれば…と思わずにはいられませんでした。

会期もそこそこ長いので、機会があればあと1回見てみると再発見がありそう。もし行く事になったら、今度は時間をたっぷりとらないと(笑)。

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