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2012/12/30

「メトロポリタン美術館展 大地、空、海 - 4000年の美への旅」

もう1ヶ月も前の事になってしまいますが…東京都美術館で「メトロポリタン美術館展 大地、空、海 - 4000年の美への旅」を見てきました。「○○美術館展」が多かった印象のある2012年、たぶん最後に開幕した単一美術館展だったかもですね。東京都美術館はリニューアル後の初訪問でした(マウリッツハイス美術館展は神戸で見たから…)。金曜夜間開館の日の午後5時前は既に暗くて、明るいエスカレーターを降りて入口へと向かうのもワクワク。

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構成は以下の通り。

第1章 理想化された自然
1-1: アルカディア - 古典的な風景
1-2: 擬人化された自然
第2章 自然の中の人々
2-1: 聖人、英雄、自然のなかの人々
2-2: 狩人、農民、羊飼い
第3章 動物たち
3-1: ライオン、馬、その他の動物
3-2: 鳥
第4章 草花と庭
第5章 カメラが捉えた自然
第6章 大地と空
6-1: 森へ
6-2: 岩と山
6-3: 空
第7章 水の世界
7-1: 水の生物
7-2: 海と水流


「自然」というテーマにまつわる古今東西の美術品を上記のように章立てて展示してあります。例えば「鳥」というくくりで時代も場所も様式もジャンル(絵画とか彫刻とか写真、工芸品などなど…)も違う美術品が並ぶ、といった具合。落ち着かない印象を受ける人も多いだろうとは思うのですが、次に何がくるか分からないワクワク感は他の美術展ではなかなか味わえないもの。ニコニコしながら見てる人が多かった気がするし、私も見終わって「楽しかった!」とにっこり。

ワンテーマ、あるいは1人の芸術家を特集した美術展は、それが好みのものであれば足を運ぶけれど、そうでなければ積極的に行こうとは思わないかもしれない。だから、こういう間口の広い美術展は私のような初心者には色々な発見があったのも良かったです。


だいぶ記憶が散ってしまっていますが、印象に残ったものをピックアップします。

レンブラント・ファン・レイン「フローラ」
春、花、愛の女神「フローラ」も絵画の題材ではよく見る気がしますが、この絵は画家の亡くなった妻がモデルとされているようです。そのせいか、どこか哀愁をおびたフローラの表情に引き寄せられてしまいます。愛情にあふれた絵なれど、春のさなかではなく、寒く厳しい冬に春を思って描いたかのような「届かなさ」を感じるのです。

フランソワ・ポンポン「シロクマ」
ポンポンさんはロダンの助手をつとめていたんですよね。彼のシロクマは、オルセーで大きな彫刻を見ていたのですが、メトから来てたのは29.2x48.3x17.1という小さめサイズのものでした。ポンポンさん(と、さん付けで呼びたいお方w)の彫刻はどれも単純化といっていいフォルムのなめらかさがたまらない…。メト展でも「推し」らしく、東京展会場限定で、シロクマが表紙の図録が用意されていたり(通常版はゴッホ「糸杉」)、シロクマキャンディなんてのもあったり。

ティファニー「ハイビスカスとオウムの窓」
ルイス・コンフォート・ティファニーのデザイン、ティファニースタジオ製造。ステンドグラス、になるのでしょうかね。従来のステンドグラスとは色の表現も全く違うし、横から見ると花びらなどは実際の花びらを思わせる厚みがあったりして。こういう手法はティファニースタジオが確立したものだろうと思いますが、改めて驚かされました。ガラスだけ見ても素晴らしいケド、このガラスがはめ込まれた邸宅ごと見せていただきたいわよねー、と。ティファニーは他にも花器などが来ていたけど、どれも優美で美しかったわ。「カエルのモチーフの盆」とか、もうね…。

チャイルド・ハッサム「桃の花−ヴィリエ=ル=ベル」
ハッサムさんはアメリカの印象派画家さんだそうですが、ここに描かれた桃の木は自然そのままのフォルム。森を散策して、ふと開けた場所に出たら、、、こんな風景が待っていそう。淡い色彩と意外な程に強い筆使いが印象に残ります。

フィンセント・ファン・ゴッホ「糸杉」
この美術展の目玉。実際圧倒的でした。幸いそんなに混んでいなかったこともあって、正面からだけでなく、その展示室のあちこちから角度を変えて見る事ができたのですが、場所によって印象ががらりと変わってしまうのに驚かされっぱなしでした。糸杉の迫力に圧倒されたり、糸杉を揺らす風を感じられたり…。迷いのない勢いを感じる筆に、ゴッホその人に思いを馳せずにはいられません…ね。
ゴッホはもう1枚、ミレーの模写(油彩)が来ていました。ミレーの絵を知らずにこの絵だけ見たら、もう普通にゴッホさんワールド展開中って思うけども。そんな中にもゴッホの生真面目さが垣間見られて切ない…

アンリ・ルソー「ビエーヴル川の堤、ビセートル付近」
大好きルソーさんも油彩が1点。緑の豊かさは流石です。

カナレット「ヴェネツィア:サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂」
ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー「ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」
水彩をみっちり見たばかりのターナーは、やはり油彩の鮮やかさが際だっていました。カナレットとターナーが100年以上の時を隔て、とても近い場所で描いた絵が両方来てるっていうのもよいですね。

これらの絵のあった「海と水流」の章は好みの絵がたくさん掛かっていました。ユベール・ロベール、モネ、セザンヌ、ヴラマンク、サージェントらによる水の表現、並べてみるとそれぞれの個性が浮き彫りになるのが面白い。


他にも、タペストリーは見事なものがいくつも来ていて圧倒的な存在感でした。古代エジプトの出土品のモダンな造形に見惚れたり、初期の写真芸術が絵画的な表現を目指していた事の意味を考えたり。ご当地アメリカ人画家による絵がいろいろ見られたのもよかったです。エドワード・ホッパー「トゥーライツの灯台」ジョージア・オキーフ「骨盤II」が並んだ一角は、すっと湿度が下がって、暗い展示室なのに光りに包まれたようなまぶしさを感じる位。

メトロポリタン美術館展は1月4日(金)まで東京都美術館で開催中。残念ながら、巡回はないそうです。

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