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2012/12/16

「手の痕跡展」

国立西洋美術館「手の痕跡展」を見てきました。こちらは国立西洋美術館所蔵品からロダンとブールデルの彫刻、版画、素描を展示したもので、所蔵品だからということでほとんどのものは写真撮影可(撮らなかったけど)。

実はこちらより常設特集展示のマックス・クリンガーが目当てだったのですが、彫刻も予想以上に楽しめました。面白かったです。普段は収蔵庫に保管されているような作品も多く出ていたそうで、よい機会をいただいたと思います。

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構成は以下の通り。

第1章 古代やルネサンス彫刻の探求と成果
第2章 肖像・頭部彫刻
第3章 人体の動勢表現
第4章 記念碑制作
第5章 版画・素描


ロダンとブールデルの作品だけで90点超の展示。国立西洋美術館はお庭にもこの芸術家たちの彫刻が並んでいるので目に触れる機会は少なくないのですが、改めてじっくり見るのは面白かったです。私はやはりロダンの、現実には相当厳しいポーズで(笑)男女が抱き合ったりしている愛をテーマにした作品たちが好きでした。とても美しいと同時に音楽的だと思うのです。それか、私がバレエを思い浮かべてしまうから音楽も一緒についてくるのかな…。「接吻」しかり、「私は美しい」しかり。

フギット・アモール(去りゆく愛)」なんて凄く良かった〜。これ「地獄の門」の右扉にもいるんですね。今後は西洋美の前を通ったら必ず寄って見る事にしよっと。

もちろんギリシャ神話を題材にしたものも多くて、私の好きなオルフェウスものとしては、「オルフェウス」「オルフェウスとマイナスたち」。といっても後者は足下にオルフェウスの首が、っていうものですけれどね(笑)。前者は、詩人、音楽家のイメージから受ける印象とはかけ離れたマッチョかと一瞬思うけれど、竪琴が箱状のままだからガテンな印象を受けてしまうのか。

大理石を掘り出した「洗礼者ヨハネの首」なども凄みがありました。


ロダンの話ばかりになってしまいましたが、作品数もロダンの方が圧倒的に多いのです。ブールデルはお庭にある「弓をひくヘラクレス」の習作の展示が。バレエファンとしてはイサドラ・ダンカンをモデルにしたという「ヴェールの踊り」に興味津々。ヴェールなんて素材的に対極にあるものですものね。

最後のコーナーに素描や版画がまとめてあって、先に見た彫刻の素描があったりするのがいいですね。ヴィクトル・ユゴーなんて正にそのまま彫刻になってた感じ。ロダンの素描すごく上手くて感心しました。また、「Fun with Collection 2012 彫刻の魅力を探る」として彫刻の技法や材料を紹介する展示があったのも、私のような素人には目を開くきっかけになるかも、というありがたい企画。


思いがけず堪能した後は、常設へ。常設の展示リストは用意されていないけど、「常設展」のページから展示作品を参照する事ができます。感想書くときにゆっくり参照しよーとのんびりしていたら、どうやら少し展示替えがあったらしく、鑑賞した時と一部が変わっていました…。鑑賞したものを自分でリスト化しようと思っていたのに…。ルーベンス「眠る二人の子供」は今はお休み中なんですね。

西美のコレクションの顔といえるような作品たちにはけっこう会えた気がします。元々好きでお目当てにしてたモロー「ピエタ」「牢獄のサロメ」に満足したのはもちろんのこと、ルノワールやモネ、ドニの作品たちもボリュームがあって。モネの部屋では「黄色いアイリス」がとても印象に残っています。デュフィ「モーツァルト」(画像なし)もよかったし…。

他の好みの画家ではアンリ・ファンタン=ラトゥールは静物画が見られたのですが、現在はより好みの題材である「聖アントニウスの誘惑」も見られるもよう。行かねば。

モロー、ドニ、ファンタン=ラトゥール、ジョン・エヴァリット・ミレイ「あひるの子」、セガンティーニ「羊の剪毛」、ポール・ランソン「ジギタリス」など好みの絵が飾られた19世紀絵画の部屋はぐるぐる回遊しちゃうところですが、今回は2周だけ(笑)。

20世紀の部屋は、前述のデュフィ、デュビュッフェの2作品もよかったけど、フジタ「坐る女」(画像なし)が出色。女性のワンピースも素敵だったし、背景の金地が美しい。札幌でも金を使った油画を見たけど、こちらはより日本的な金の使い方というか、当時のパリの人が喜んだだろうと思われる使い方で。これはいい絵。

好きな画家の絵を除いて一番印象的だったのは、ジャン=フランソワ・ミレー「春(ダフニスとクロエ)」でした。見て、このクロエの表情!まだあどけないダフニスとクロエの姿に、小説の中の2人ってこんな感じよね、と納得。


さて、特集展示のマックス・クリンガーですが、これは本当に本当に楽しかったです。にやにやしながら見てました。展示されていたのは、「手袋」連作、オヴィディウス「変身物語」の犠牲者の救済連作、「死についてII」の他に自画像など。「手袋」は象徴派展で見て、そのぶっとんだ思考と描き込みに惚れたんですけど、見た後の独特の余韻がいいんですよねー。

「変身物語」の犠牲者の救済、はその名の通り「もし○○が××だったら…」というドリフ的とも言える話の変換で、その描き込みと描写にも感心するけれど、ユーモアとかひねくれた優しさとかは「手袋」には見られなかったもの。確かに救われはしたけれど的な皮肉っぽい結末も含め、余韻を楽しませてくれるのは変わらない。自画像なども含め、自分の興味がピークのうちにまとまって見られたのはホントによかったです。


はー、西美にお散歩にいけるところに住みたいわ…。


「手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」および「マックス・クリンガーの連作版画――尖筆による夢のシークエンス」は1月27日まで、上野の国立西洋美術館で開催中です。

Graphic Works of Max Klinger (Dover Fine Art, History of Art)
Graphic Works of Max Klinger (Dover Fine Art, History of Art)

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