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2012/12/14

「20世紀フランス美術の栄光展−鎌倉大谷記念美術館所蔵 ヴラマンク、デュフィを中心に−」

フレッシュひたち号に乗って、笠間日動美術館「20世紀フランス美術の栄光展−鎌倉大谷記念美術館所蔵 ヴラマンク、デュフィを中心に−」を観てきました(先月の事ですが…)。

鎌倉大谷記念美術館は、ホテルニューオータニ創業者の大谷米太郎氏と前会長の大谷米一氏の美術コレクションを、米一氏の鎌倉別宅を美術館として展示していたそうなのですが、残念ながら2009年12月より休館中。エコール・ド・パリ、特にデュフィのいいものをお持ちだとかで、この機会を逃す手はないなーと出かけてきた次第です。

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ここもある意味観光地美術館という位置づけになるのかもですが、客層はともかく展示品は充実していて見応えありました。流石に画廊系列だけの事はありますね。楽しかったです。


まずは企画展から。そこそこの入りではあったものの、大きなサイズの絵も多いので割とゆったり独り占め鑑賞もできました。まずは美術展の副題通り、ヴラマンク9点とデュフィ10点が並んでいて圧巻でした。ヴラマンクはあまりまとめて観る機会がなかったのですが、絵の具の盛りとパレットナイフでこそげ落とした跡が荒々しくも印象的。ゴッホみたいに盛るわねーと思っていたら、ゴッホの個展を見たのが彼の転機の1つだったみたいです。風景画も花の絵も気に入りました。私は特に「花瓶の花」が好きだったな。

デュフィはフォービズムの影響を思わせる自画像から、スタイルを確立したのちの海、音楽、競馬の3大テーマが勢揃い。中でも「黄色いコンソール」「コンサート」「オーケストラ」の並びは至福。来た甲斐があったというものです。

他に鎌倉大谷からはマルケが1点。…タイトルから企画展示は全て鎌倉大谷からかと思ってたのですが、他は笠間日動のコレクションがほとんどでございました。


でもねー、やっぱり出かけてみるものですね。観たいと思っていたマティス「ジャズ」全20点をここで観る事ができました。色鮮やかな紙を切りぬいていく切り紙絵は、マティスが70代に大病をした後で体力がない為に編み出された手法だったのですよね。鮮やかで美しい色遣い、ユニークなモチーフの数々は観ていて楽しいけれど、描かれているのは血だらけの道化師やむち打たれる曲芸馬やピエロの遺体を乗せた馬車だったり…。体力の衰え、第二次大戦、妻と娘がレジスタンス容疑で逮捕。といった状況で制作されたこの「ジャズ」は、それでも新たな手法を得て制作に打ち込むマティスの、前に進む力強さを感じさせてくれました。

2階はガラスケースに収められた笠間日動の所蔵品がキュビズム、エコール・ド・パリ、シュルレアリストなどと続きます。ピカソ、レジェ、ザッキン、、ときてユトリロの前に立った時、ダンナが解説文を読んで「ユトリロってアル中だったのか!」と(笑)。そうだったのですかー。アル中の治療の一環として絵を描き始めたのだそうですよ。あんな几帳面そうな風景画ばかり描いているのに!と仰天しましたっけ(笑)。

企画展を見終えたら、企画館の3階から渡り廊下と庭園を抜けてフランス館へと移動します。庭園には彫刻が何体も立っておりましたよ。ぽかぽかのよいお天気。


フランス館は展示リストが見あたらず(コレクション展もぜひ出品リストつくってほしいし、もしあったなら見つけやすいところにおいていただきたいです)…でしたが、まずはルノワールによる女性のブロンズ像がお出迎え。横美のドガ展にも出ていた、ドガ「舞台の袖の踊り子」も。デュフィも1点あって、正確なタイトルは忘れてしまったのだけど(ダメじゃん…)ダンサーの絵がツボでした。

ここにはフジタと奥さん(2番目の方だったかしら…)が並んだ自画像があって、机の上には硯と墨があって。この缶はタルクパウダーかしらと思うものも。そのお隣には笠間日動の館長夫人を描いたウォーホルの「C夫人像」。C夫人は他にも彫刻などあちこちでモデルになったものが展示されています(本も出てる)。

日本人では鴨居玲「サイコロ」と佐伯祐三「パリ裏街」が強く印象に残っています。あとスーラのコンテ絵ね。照明を限りなく抑えた薄暗いデッサン室に展示してあるのだけど、白が浮かび上がってくるような明暗の対比を目の前にして息をのんでしまいました。更には日動画廊創設者ご夫妻の蒔絵や螺鈿細工を施した豪華としかいいようのない箪笥や漆器の数々に目が潰れそうになり(笑)。

ただねぇ…企画館だけでなくフランス館でもそうだったのですが、ガラスケースの内側に作品があって照明がガラスに反射して観にくいのが難点でした。照明自体も絵を美しく見せていないというか、影が出来ていたし、絵の正面に立った時にガラスの継ぎ目が真ん前にあったり、というのも細かくフラストレーションが蓄積されていくので良くないですよねー…。


最後にパレット館へ。これはとてもユニークはコレクションですねぇ。画家から譲り受けたパレットを展示しているところなのですが、数がなにしろ多い。ほとんどは使ってきたパレット(絵の具がこびりついた状態)の真ん中に何かその人らしい絵を描いて渡されるようなのですが、人によっては「そこまでこんもり盛るか」ってくらい山脈のようになっていたり。新しいパレットを用意して綺麗に絵の具を出したものをプレゼントしてくれる人がいたり。

ほとんど日本人画家ばかりで、しかも知った名前がほとんどいなくて(うーん、鴨居玲くらいだった気が…)。もう少し日本人画家に明るかったら、たぶんもっともっと楽しく観られたでしょうね。自分が残念。


ということで図録でも買って帰るか!と思ったら、この美術展の図録は作ってないようで…鎌倉大谷と笠間日動それぞれの名品選の図録というか書籍があったけど2冊はなー…と思って鎌倉大谷のだけ購入。

この名品選ねー、流石に名品揃いで観ているだけでもうっとりなのですが、嬉しい事に、札幌で観て「もっと見せて!」って思ったデュフィの挿絵本「動物詩集」も収められているのですよ。この本で見られるのはフクロウと孔雀と馬の3つだけなのですが、いやコレホントにスゴイわ。


なかなか訪問のチャンスがないところですが、また魅力的な美術展が開催されたら行きたいなーと思っています。

アンリ・マティス ジャズ (岩波アート・ライブラリー)
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C夫人肖像画―世界の巨匠29人に愛された女性
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