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2012/10/22

「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」

神戸に移動して、神戸市立博物館「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」。言うまでもなく、東京でも大ヒットを記録した美術展です。東京で見られず、神戸の方が少しは人が少ないかも、と淡い期待を抱いて訪問。

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東京では昼間は平日でも入場待ちになるケースが多かったと思いますが、神戸ではまだ閉幕まで時間があるせいか、平日昼過ぎの入場待ちはありませんでした。あらかじめ入場券を買ってあったので、チケット購入待ちについては不明。ただ、会場内の人は最近見た展覧会の中では一番多かったですね。やっぱりメガヒット美術展だけのことはありました。たぶん朝イチや夕方ならもう少し快適に見られたでしょうけど。

構成は以下の通り。

1. 美術館の歴史
2. 風景画
3. 歴史画(物語画)
4. 肖像画と「トローニー」
5. 静物画
6. 風俗画


最初の部屋は、マウリッツハイス美術館とのご挨拶的な展示。アントーン・フランソワ・ヘイリヘルス《マウリッツハイスの「レンブラントの間」》が、この絵の描かれた1884年頃の美術館の様子を伝えてくれます。レンブラントの間に飾られた中央の絵は、「ニコラース・テュルブ博士の解剖学講義」というのだそうです。

第2章は風景画。オランダという土地の魅力なのかオランダの画家たちの画風がしっくりくるのか判らないけれど、この地域の画家たちが描く風景画というものがとても好き。今回来ていた絵はどれも空の面積をとても大きくとっていて、風景というのは空の事ではないかという位。そんな空の下での人々の営み、あるいは自然の描かれ方は、とても緻密。風景画でありながら風俗画でもあって、そこに描かれた地域の人々の暮らしが浮き上がってくるよう。ライスダールの叔父、サロモン・ファン・ライスダール「帆船の浮かぶ湖」が印象に残ります。


第3章は歴史画(物語画)。レンブラントの光と闇のコントラストは「スザンナ」でも「シメオンの賛歌」でも劇的な印象を与えていました。この目で見ると、その巧みさ、説得力に脱帽…。現代ほど照明事情のよくなかった時に見たら、更に劇的でしょうね。レンブラントと同じ「シメオンの賛歌」の場面を描いたアーレント・デ・ヘルデルはレンブラントの最後の弟子だったとか。広大な空間に小さく浮かび上がるシメオンたちを描いたレンブラントに対し、ヘルデルは人物を大きく描いていました。手前で横顔を見せるマリアの美しかった事。

そしてここに、フェルメールが初期に描いた「ディアナとニンフたち」もありました。人物画の、そして小さなサイズの絵の印象が強いフェルメールの、比較的大きなサイズの神話画。中央のディアナは三日月の冠をつけて、足を洗われているというモチーフ。同じ題材を描いた他の画家の絵たちと比べてもとても上品に感じるのは時代なのか、それともフェルメールの個性でしょうか。よりによって弟子の作品と偽造されていたなんてかわいそうな作品でもあったとか。


ここでフロアを1つ降りますと、そこに彼女がいました。「真珠の耳飾りの少女」。東京と同じく、最前列で見たい人(ただし立ち止まらずに)は行列に並び、最前列じゃなくていい人は並んだ人が通る柵越しに立ち止まって見られる、という構造。たぶん並んでも10分も並ばなかったのではないかしら。そういう私は柵越しにじっくり、を選びました。(柵越しに見てから行列に並んだ人も多かったと思いますし、最前列でも立ち止まって見ている人は多かったですけどね。で、監視員さんに声を掛けられる、と)

部屋の中の、どの位置から彼女を見ても、こちらを見つめられてしまうという不思議な絵でもありました。暗い背景に浮き上がる肌、輝く瞳、唇のつややかさ。そして真珠のてり。人々が魅了されるのも納得の、美しくミステリアスな絵でありました。離れがたかったです。


続いて肖像画と「トローニー」のセクション。ヴァン・ダイクの描く肖像画もここのところ続けて見ていますが、ここにあった「アンナ・ウェイクの肖像」は、リヒテンシュタイン展で見た「マリア・デ・タシスの肖像」とエルミタージュ展にあった自画像と、両方を思い起こさせる絵でした。マリア・デ・タシスとアンナ・ウェイクは着ているドレスが同じ様式のものだし(描かれた時期が1-2年の違いなので同じ流行の時だったのでしょうね)、ヴァン・ダイクの自画像とアンナ・ウェイクは何となく顔立ちが似ているような。もちろんドヤ顔(笑)のヴァン・ダイクと違って、アンナ・ウェイクはとても控えめな表情の美人さんでしたけどね。

圧巻はレンブラント作の人物画が4枚並んでいるところ。それには亡くなる年に描いた画家の自画像も含まれています。印象的な光の当たり具合、筆運びの力強さに見入りました。自画像の、塗り重ねられた肌の質感も忘れがたいけれど、「羽根飾りのある帽子をかぶる男のトローニー」の、振り返った顔から肩に書けてあたる照明に浮かぶ金糸の刺繍や耳飾りと口ひげを蓄えた口元が、目に焼き付いています。


静物画と風俗画のセクションは、ちょっと狭いところに追いやられた感あり。青いターバンの彼女にスペースをとられたのもあるでしょうけど、もう少し何とかならなかったのかしら…。あまり落ち着いて鑑賞できる雰囲気じゃなかったのが残念でした。

ピーテル・ブリューゲル(父)の息子ヤン・ブリューゲル(父。ややこしい一家だよなぁ…笑)の花の絵はとても好きなので、今回飾られていた「万歴染付の花瓶に生けた花」もとても気に入りました。チューリップ、そしてバラが何本か。一緒に生けられた小さな花たちも愛らしい。この画家の作品としては花の本数は相当控えめだけれど、花の画家の名にふさわしい美しさ。

そして、カレル・ファブリティウス「ごしきひわ」の愛らしさ。小さな作品だけれど、立ち止まってじっくり見ずにはいられないもの。いわれはイロイロあるようですが、見られて嬉しかった名品。追い掛けてきてよかったです。


この美術展はオリジナルグッズも趣向をこらしたものがたくさん出ていましたけど、私は図録と絵はがきを何枚か。図録が2,000円って他よりずっと良心的だし(出展数が多くないのも理由なのかな)、絵の横に解説がある形式も親切でした。

これにて遠征の美術展筋トレ(笑)も無事終了。


「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」
09/29-2013/01/06 神戸市立博物館

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