FC2ブログ
2012/10/18

「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」

三重県立美術館で「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」展を見てきました。はい、そーなんです…コレ、東京で既に開催して大変話題になった美術展なのですが見られなかったのです。前週に見たブリヂストン美術館「ドビュッシー展」に出展されていたドニの絵に「あら、型紙の印象?」と思うものがあったのですね。この美術展見たら絵画の見方が劇的に変わりそうだし、構成(下記参照)からして私好みなのも間違いないので、他の見逃した美術展などと絡めていい感じのスケジュールが組めたので行ってきました。

121010_1.jpg

構成は以下の通り。

第1章 型紙の世界 - 日本における型紙の歴史とその展開
第2章 型紙とアーツ・アンド・クラフツ - 英米圏における型紙受容の諸展開
第3章 型紙とアール・ヌーヴォー - 仏語圏における型紙受容の諸展開
第4章 型紙とユーゲントシュティール - 独語圏における型紙受容の諸展開
第5章 現代に受け継がれる”KATAGAMI”デザイン


隅から隅まで好みで、自分の好きなものの源ってコレだったのかも!と。諦めずに見に来てよかったです。まずは第1章で展示された型紙の数の多い事!そしてそれら模様の繊細さに見入りました。細やかで根気のいる手仕事、デザインの独自性。日本の匠スゴイ。型紙染めの見本帳も展示されていて、欲しい!と身もだえしましたですよ。型紙の1つ1つ、それぞれの意匠が素晴らしいのです。繊細だったり組み合わせの妙だったり。

日本の型染めと関係が深いと考えられている琉球の紅型はデザインも大胆だし色使いも独特。そしてこれらの型紙や着物を見た後で型紙染めの着物が描かれた浮世絵を見ると、もう着物の文様にしか目が行かなくなってしまうのです(笑)。


第2章から後は欧米で型紙の影響がどんな風にみられたか、そしてどのように展開していったか、という展示。100年以上も前から海外の美術館に型紙のコレクションが形成されていたなんて知らなかったです。参考にされたであろう型紙と並べて展示しているので、その取り入れ方も判ります。

イギリスではウィリアム・モリス、リバティ、C.R.マッキントッシュ(超好み!!)、ピアズリー、フランスではドニの絵も。ドニは自宅の壁紙を自分でデザインしたそうで、その下絵と、その壁紙が描かれている「家族の肖像」などが出ていました。この絵、ドビュッシー展のあと「ドニの個展あったんだー」と見そびれてがっかりした展示のメインビジュアルに使われていたもの。ちょっとラッキー。

そして、フェリックス・ヴァロトン「怠惰」が堪らなく好み。ピアズリーの影響を感じます。ミュシャ、ガレにドーム兄弟、ラリック。独語圏は更に工芸デザインや装飾もたまりませんでした。写真ながらウィーンの分離派会館の金葉のレリーフやオットー・ワーグナーのマヨルカ・ハウスも。そうね!確かに納得。現代のブリントンズのカーペットやバックハウゼンのテキスタイルまで、好きなものが詰まった展示でした。いやもうホントに楽しかった。事前の予想通り、これから見る様々な図柄には型紙の影響を探してしまう事でしょう。


そして、これは布の目線ではありますが「染め」と「織り」についてもつらつらと思いを馳せる事に。前日に見たタピスリーの技法とここで見た「染め」に至るまでの技法。「布が好き」でありながら、その成り立ちに無頓着過ぎたと呆然としました。こんな気づきまで与えてもらって、ホントに何故もっと早く見なかったのかと…。でも間に合ったのでよし、とします。図録は2,800円と平均より少し高いのですが、納得の充実度。しまい込まず手元に置いて、繰り返し見る事になりそうです。幸せ。


ところで三重県といえば伊勢型紙のお膝元。途中の映像コーナーで、この伊勢型紙の伝統的な技法と、型紙を用いた江戸小紋の染色工程を見る事ができました(三重県のホームページでも公開されています)。これがまたお勉強になりました。彫りの技法もそうですが、型紙をつくる工程はそう見られるものではないですから。文様に合う小刀がない時はご自分で作るのだそうです。全て手作業。職人さんは、型紙のデザイン、型紙彫り、道具作りと1人で何人分もの匠の技術を持っていらっしゃるのですよね。

また三重県美ならではという事で、「極小の宇宙 手わざの粋━伊勢型紙の歴史と展開」展も同時開催されていました。ものすごく立派なリーフレットが用意されていて感激。貴重な展示てんこもりで時間がいくらあっても足りない。


2階の常設展示では第3室の「舞台の上で」というテーマ展示が面白かったです。(そしてここでもシャガール「サーカス」に遭遇)。題材としてはサーカス、そして道化が多かったですね。ゴヤの「闘牛技」エッチング連作もあって、娯楽というものについて考えつつ。

シャガールに限らずサーカスを題材にした西洋の絵というのは多いですが(ここに展示された日本人画家の洋画でも多かった)、これは現代の日本にいるとあまりピンと来ない事ですよね。私たちにとってもサーカスを見ることはとても強烈な体験だけれど、さほど身近なものではない。でもロシアやヨーロッパ圏でのサーカスあるいはシルクには専門の学校があったり常設の劇場があったりして1つの文化として成り立っているようですし。

以前テレビでローラン・プティ(昨年亡くなったフランスのバレエ振付家。レペットは彼のお母様が創設したお店です)が、子供の頃によく通ったというサーカスの劇場をちらりと案内してくれた事を思い出しつつ、今ほど娯楽のなかった時代の子供達に、サーカスの曲芸や音楽、照明などが一体どれだけまぶしく強烈な印象を与えたかと…。文化的な背景を丸ごと理解する事は難しいけれど、そんな風に少し想いを馳せてみました。


「KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」
2012/08/28-10/14 三重県立美術館

ktgm.jpg

コメント

非公開コメント