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2012/09/28

映画「イヴ・サンローラン」

昨夜はドキュメンタリー映画「イヴ・サンローラン」を。WOWOWで録画しておいたもの。サン=ローランが亡くなって、公私にわたる長年のパートナーだったピエール・ベルジェが語るサン=ローランの事と2人の事、そして彼らが所有していたものすごい数の美術品がオークションにかけられるまでを織り込んだもの。ベルジェの語りと古いアーカイブ、現在進行形の美術品の査定や運び出しが交互に映し出されていきます。

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画面には、ひたすらに美しいものが溢れていました。サン=ローランのオートクチュール(最後半にはプレタポルテも)、それを身にまとうモデルたち、彼らの邸宅、その邸宅に所狭しと並べられた美術品と美しい調度品たち。大きなアンソールが1枚あって目を惹いたのだけど、あれはオークションの後どちらへ渡ったのでしょうね。

美術品はこつこつと手元に集められていったという事だけれど、そんなゴージャスな大邸宅でありながら本当に気持ちが安らいだのは思い出の写真などが飾られた(もちろん本もぎっしり)書斎だった、という話も印象深し。それらの写真の中には、マイヤ・プリセツカヤの写真も。


クリスチャン・ディオールのアトリエを継いだサン=ローランですからして、その当時からの映像や写真もたくさんあるんですよね。中にはベルジェが提供したと思われるプライベートフィルムも含まれていました。若い頃のサン=ローランは真面目ではにかみや、という雰囲気。最晩年までの様々な時期の彼は、自信たっぷりだったり疲労の抜けない顔をしていたり、あるいはふてぶてしかったり。

コレクションのフィナーレに登場するウエディングドレスと、その後に喝采を受ける為に登場するサンローランの姿とが、何シーズン分も一気にまとめて流れる場面があるのですが、そこが圧巻でした。様々な趣向をこらしたドレス、それを生み出す為に文字通り身を削ったサン=ローラン。

才能豊かだった彼の仕事の1つとして、ピンクのシャンパンの泡をイメージした羽根の衣装を着てポワントで立つジジ・ジャンメールの姿も。そういえば、一昨年だったかパリで泊まったホテルに、サン=ローランのジジの為のデザイン画が額装してありましたっけ。(ここ参照:4枚のうち左下の衣装を着たジジが、映画に登場します)


2人の、あるいはサン=ローランの困難な時期についての話も良い時の話も、ベルジェはあまりトーンを変える事なく淡々と話しているようにみえました。その口調と、そして2人が大切にしてきたコレクションをイヴの死後オークションにかけてしまうという行動、オークションの目的を知らずに映画を観ると「え、何なん?そんな簡単に…」と思ってしまう事でしょう。この答えは映画の後半にベルジェ自身から明かされるのだけど、まぁ当時もニュースになったから知っている人は知っているよね。あの大きなグランパレを会場に開かれたオークションの様子も少しだけ見る事ができるのだけど、会場も電話参加者も鈴なり。金額もものすごい事になっておりましたですよ。

そういえば、フランスW杯のセレモニーで、スタジアムに歴代の彼のコレクションを身にまとった300人のモデルが登場した時の映像なんかもありました。まさに時代を象徴するファッションが並んでいて、唸りました。今あれだけの「時代の象徴」を産み出すのは不可能でしょうね。あの時代のクチュリエの創造性があってこそ、現代の嗜好の多様化がある訳なので、どちらがよいって話でもないけど。そのモデルさんたちの中に日本人もいるじゃん!って思ったら川原亜矢子さんだったみたい。


それにしても圧巻の美でございました。んと、例えば何年か前に続けざまに公開されたシャネルものなんかと比べると、映像も落ち着いたトーンだしファッション目当てだと肩すかしかなーとも思いますが、それでもサン=ローランの美意識が生んだものは堪能できるかと。

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