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2012/09/26

「ドリアン・グレイの肖像」

オスカー・ワイルド「ドリアン・グレイの肖像」、3回映画化されているうちの1つめ、1945年アルバート・リューイン監督の「ドリアン・グレイの肖像」を見ました。これについては、ヘルムート・バーガー主演「ドリアン・グレイ 美しき肖像」を見ての流れ、でございます。


ドリアンが婚約する場末の劇場の女優シヴィルが、見せ物小屋の歌手になっていて、画家バジル・ホールワードの姪という原作には登場しない女性も出てくるという。基本的には原作にそった流れで物語は進んでいくものの、ドリアンと女性との関わり方が原作とは違っていたりとか、全体的に「薄い」味付け。

そういう女性関係の事って時代的な背景もあるのかしら。ドリアンがシヴィルを捨てる原因はヘンリー卿の入れ知恵でドリアンが彼女を試した末で、という貞操の問題になっているのがちょっとね…。あと、美しく成長したバジルの姪とドリアンが結婚する事になるとか、何かそういう「変にリアリティをつけようとする」ところはいらなかった気がするのだけど。ただ、女優さんは文句なしに美しいので、目は喜びましたですよ。


美術的には割と納得がいくものでした。ドリアン役のハード・ハットフィールドはこれがデビュー作だったそうですが、毒気のなさすぎる美青年という印象がちょっと肩すかし。最初にかすかな変化が現れた絵の中のドリアンくらいの佇まいだったら、きっと全然印象が違っていただろうなぁ。

ヘンリー卿役のジョージ・サンダースは、ちょっとだけ若い頃のベジャールさんの雰囲気があって親近感。も少し厭世的だったらとは思うけど、現実味のあるヘンリーだった気が。バジル役のローウェル・ギルモアもイメージ近かったです(私の中でこの役は何故かティム・ロビンスに置き換わっているという…)。この2人だけで好印象に傾いた映画ではありました。配役と美術大事。

ドリアンの愛読書がオスカー・ワイルドってのは安易かなと思いつつ、オーブリー・ビアズリーの美しい装画がちらりと見えて嬉しかった。でもワイルドの本を写したからといって、その世界感まで表現される訳ではないからねぇ。でも、時代設定が自然だったのは何よりだし、知らずに見たバーガー版ほどの裏切られ感はなかったけど(笑)。結局何をこの原作を題材にした映画に求めるかって事よね。うーん、評価は保留。

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